パリやミラノに続き、東京でも開催された2014年春夏のファッションウィーク。日本のファッションの未来を担う若き精鋭たちが、自身のブランドのニューコレクションを披露した。今回はデザイナーのコメントの中に、「自由」や「ファッションを楽しむ」という言葉が目立ったが、そんな「自由」という観点から、メンズ・ウィメンズという垣根を取り払った、中性的でジェンダーレスなスタイルが多く登場した。
印象的だったのは、メンズコレクションでのスカートやキュロットのルック。男はパンツという既成概念に一石を投じ、新たなメンズファッションのあり方を提案していた。またピンクなどのいわゆるガーリーなカラーやモチーフを取り入れ、女性的なフェミニンさを表現しているルックも多く見受けられた。ウィメンズのコレクションでは反対に、スポーツのユニフォームやスカジャン、かっちりとしたセットアップのスーツなど、ボーイッシュあるいはメンズライクなテイストを取り入れたスタイルが多く登場。「女性らしさ」にこだわらない着こなしは、強く意志のある女性像を演出していた。
ウィメンズファッションの世界においても、「マスキュリン」というワードが使われるようになって久しいが、今回の東京コレクションでは、そうした性差のミニマイズ化がだんだんと進んできているような印象を受けた。それはおそらく、ジェンダーイシューにおいて過渡期にある東京の社会自体をも、象徴しているのかもしれない。
スカートに対する記者からの質問に対ファセッタズム ( FACETASM ) のデザイナーは「好きなもの着ればいいじゃんと思った」とコメント。シンプルなスカートの下から、ボーダー柄のアシンメトリーなスカートをのぞかせるレイヤードテクニックで、メンズアイテムとしてのスカートをよりウェアラブルに。
ロング丈のキュロットのようなボトムが生み出す中性的な雰囲気ラッド ミュージシャン ( LAD MUSICIAN ) 。ストライプのジャケットが、オーバーサイズ感のあるコーディネートをすっきりとまとめあげている。センスの光る色使いも真似したい。
ジーヴィージーヴィー ( G.V.G.V. ) からはバスケットボールのユニフォームをモチーフにしたボーイッシュなワンピース。メッシュ素材だからできる程よい肌見せ感がセクシー。アクセサリーではさりげなくピンクを取り入れ、デザインのいかついイメージをトーンダウンさせた。
シセ ( Sise ) からは切りっぱなしの裾が、こなれた雰囲気を演出しているプリーツスカート。全身ブラックのコーディネートに、腕部分やポケットに施された黄緑色のテキスタイルが映え、ぐっと大人っぽい印象に。
服の装飾を限りなく減らして生み出されたミニマルなスタイルのラマルク ( LAMARCK ) 。ゆったりめのパンツは、左右の丈の長さを変えて、アシンメトリーに。セットアップを普通で終わらせないコツは、上下のボリューム感に差をつけること。
プリーツスカートのようなボトムにハイソックスという、レディースライクなアイテムをパンキッシュに着こなす。フューチャリスティックなシルバーが、オールブラックのスタイルのアクセント。これを提案したのはナインティナイン パーセント イズ ( 99%IS- ) 。
ビューティフルピープル ( beautiful people ) からは同じテキスタイルで作られたジャケットとコート。シンプルなデザインで、どちらもユニセックスで着られそうな仕上がり。女性はインナーをボーダーでシンプルにまとめ、男性はプリントTで遊び心をプラス。
ピンストライプのセットアップスーツが、マスキュリンミュラー オブ ヨシオクボ ( muller of yoshiokubo ) 。細身のカッティングはそこに知的な雰囲気も加えている。あえて足首を見せることで、女性らしさを引き出したところもポイント。