1970年代、軍事政権下のブラジル。元国会議員のルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちと共にリオデジャネイロで穏やかな日々を過ごしていた。だが、スイス大使誘拐事件を契機に、国の空気は一変する。抑圧の波が広がる中、ある日、ルーベンスは軍に逮捕され、そのまま連行された。
愛する夫を突然奪われたエウニセは、必死にその行方を追う。しかし、その過程で彼女自身もまた軍に拘束され、数日間にわたる過酷な尋問を受けることに。極限の状況の中でなお、彼女は沈黙を貫き、夫の行方を捜し続けた。自由を奪われ、愛する人の消息も知らされぬまま、それでもエウニセは諦めなかった。夫の名を呼び続けたその声は、やがて静かに、しかし確かに、歴史を動かす力へと変わっていく——。
映画『アイム・スティル・ ヒア』は、ブラジルの元国会議員ルーベンス・パイヴァが軍事政権によって誘拐された、実在の事件をもとにした物語。突如愛する夫を奪われた、ルーベンスの妻エウニセを主人公に、彼⼥がどのようにして⾃らの喪失と絶望に打ち勝ち、時代の潮流に逆らってまで⽴ち上がったのか、その勇姿を描き出す。監督は『セントラル・ステーション』や『モーターサイクル・ダイアリーズ』で知られるブラジルの名匠ウォルター・サレス。主演はフェルナンダ・トーレス。