ドキュメンタリー映画『フリーダ・カーロの遺品 −石内都、織るように』が、2015年8月よりシアター・イメージフォーラムほか全国劇場で公開されることが決定。近代メキシコを代表する女性画家フリーダ・カーロの遺品を、世界的な写真家・石内都がメキシコのフリーダ・カーロの生家で撮影をする過程を映し出す。
メキシコを代表する女性画家、フリーダ・カーロ。6歳の時にポリオのため右足が不自由となった彼女は、さらに17歳でバスの大事故で瀕死の重体に陥ったが九死に一生を得る。シュルレアリズムの作家としてヨーロッパでも評価されただけでなく、身体の不自由やメキシコ近代化の荒波に翻弄されつつも、ひとりの女性として力強く生きたその人生は、現在でも世界中の人々の共感を呼んでいる。
そんな彼女の死後58年経って、彼女の遺品が封印を解かれた。メキシコ人のキュレーターの発案によりその遺品を撮影するプロジェクトが立ち上がり、依頼を受けたのが世界的な写真家・石内都だ。
フリーダのアイデンティティを支えた伝統衣装やアクセサリー、絶え間ない身体の痛みを想起させるコルセットや医薬品等、膨大な数の遺品が一つ一つ並べられていく。それは喜びや誇りとともに様々な“痛み”を抱えながらフリーダが生きていた証であると同時に、彼女の記憶をも内包しているようだった。生きることそのものを描き続けた画家。彼女の遺品を見つめ、撮影した石内の写真には何が写ったのだろうか。
本作では、石内の3週間に渡る撮影過程に密着取材。監督は、『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』で、国内外で高く評価された小谷忠典が務め、遺品の背後に広がる、メキシコの風土、引き継がれる伝統、現在を生きる女性たちの姿をも捉えた。
⬛︎フリーダ・カーロについて
近代メキシコを代表する画家。6歳の時にポリオのため右足が不自由となった彼女は、さらに17歳でバスの大事故で瀕死の重体に陥ったが九死に一生を得る。後遺症に苦しみながらもフリーダはメキシコ、アメリカにおいて絵画・壁画を制作し、ヨーロッパにおいてもシュルレアリズムの作家としての評価を得た。恋多きフリーダは、レオン・トロツキーやイサム・ノグチとの奔放な恋愛や、ディエゴと二度にわたる結婚など、作品と共にその情熱的な生涯は現在の女性たちに今もなお刺激を与え、広く共感を呼んでいる。
⬛︎石内都について
現代日本を代表する写真家。初期三部作「絶唱、横須賀ストーリー」「APARTMENT」「連夜の街」で街の空気、気配、記憶を捉え、同い歳生まれの女性の手と足をクローズアップした「1・9・4・7」以後身体にのこる傷跡シリーズを撮り続ける。2014年、日本人で3人目となるハッセルブラッド国際写真賞を受賞し、各方面で更なる注目を浴びている。
【作品情報】
『フリーダ・カーロの遺品 −石内都、織るように』
公開時期:2015年8月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督:小谷忠典
日本/89分/カラー/16:9/HD/日本語、スペイン語、英語、フランス語/助成:文化庁文化芸術振興費補助金/後援:メキシコ合衆国大使館/製作・配給:ノンデライコ/ ©ノンデライコ2015