菱川師宣「江戸風俗図巻」(部分) 絹本一巻 元禄年間(1688~1704)頃
©WESTON COLLECTION
シカゴ ウェストンコレクション「肉筆浮世絵-美の競艶」展が、東京・上野の森美術館で開催される。期間は、2015年11月20日(金)から2016年1月17日(日)まで。
肉筆浮世絵とは、絵師が絹や紙に筆で直接描いたもの。絵の具を使わず紙の白さで美人の顔を表現する浮世絵版画とは異なり、貝殻を砕いた胡粉(ごふん)を白粉を叩くように何度も薄く重ねることで、白く滑らかな肌を描いていく。筆で細かく描かれた髪の生え際やうなじの毛筋、まつ毛、唇の紅のぼかしなど、美人の色香を引き立てる表現からは、巧みなテクニックが感じられる。
肉筆浮世絵の個人コレクションとして世界有数の規模と質を誇る、アメリカ・シカゴの日本美術収集家、ロジャー・ウェストン。今回、ウェストンの1,000点を超えるコレクションの中から、厳選した約130点の作品を展示する。菱川師宣や歌川豊国、葛飾北斎など、50人を超える絵師たちの作品が並び、中には、喜多川歌麿の異色の傑作「西王母図」も出品。
初代歌川豊国「見立雪月花図」 絹本三幅 文政3~7年(1820~24)頃
©WESTON COLLECTION
ウェストンコレクションの特長は、美人画とくに立姿美人図を中心に集めていること。江戸初期から明治にいたるまでの肉筆浮世絵の流れを学べると同時に、時代ごとに並べられた美人画の変遷を楽しむことができる。作品から、その時代に流行した女性の着物や髪型、化粧から身分や階級、未婚、既婚などを判断することも可能だ。
会場には、高透過アクリルとLED 照明、有機 EL 照明を用いた超薄型展示ケースを採用。至近距離から自然光で鑑賞しているかのような展示となっているので、ぜひ足を運んで、作品本来の色や繊細な筆づかいを体感してみて。
【展覧会詳細】
日本初公開!シカゴ ウェストンコレクション「肉筆浮世絵-美の競艶~浮世絵師が描いた江戸美人100選~」
会期:2015年11月20日(金)~2016年1月17日(日)
※会期中展示替えあり。
時間:10:00~17:00(金曜日は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで。
休館日:毎週月曜日、2016年1月1日(金)
※2015年11月23日(月・祝)、1月11日(月・祝)は開館。
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
観覧料:一般 1,500円(1,300円 / 1,200円)、高校・大学生 1,200円(1,000円 / 900円)、小・中学生 500円(400円 / 300円)
※( )内は前売り / 20名以上の団体料金。
※障害者手帳を提示した者とその付添者(1名)は無料。