展覧会「生誕150年記念 上村松園」が、大阪中之島美術館にて、2025年3月29日(土)から6月1日(日)まで開催される。

大阪の美術館で初、日本画家・上村松園の大回顧展

清澄で気品あふれる美人画を手がけた日本画家、上村松園(うえむら しょうえん)。明治8年(1875年)京都に生まれた松園は、男性で占められていた明治時代の美術界にあって、実力派として頭角を現した。以後、美人画における独自の理想を追求しつつ、60年以上にわたって活動を続けたのであった。さらに、この世を去る前年の昭和23年(1948年)には、女性として初めて文化勲章を受賞している。

展覧会「生誕150年記念 上村松園」は、珠玉の作品の数々を一堂に集めて松園の画業を紹介する、大阪の美術館では初の大回顧展。重要文化財の《母子》や《序の舞》をはじめ、初期から晩年にいたる100件以上の作品を展示するとともに、完成作に関連する下絵や素描も多数紹介する。

女性の人生に向ける視線

全4章のうち、第1章「人生を描く」では、女性の一生に向けた松園の視線に着目。松園は、日本の女性がそれぞれの年代に迎える姿を、髪型や着物などを細かく描きわけることで表現した。松園にとって女性の一生とは、季節の巡りになぞらえられるものであったという。会場では、優しげに母が子を見つめる重要文化財《母子》や、春夏秋冬の季節を4人の女性で表した《四季美人図》などを展示する。

四季折々に生きる女性

松園は、巡りゆく四季とともに生きる女性の姿を、生涯にわたって描き続けた。第2章「季節を描く」では、すらりとした女性の立ち姿を後ろから捉えた《待月》や、晩春の華やかな光景を色彩豊かに描いた《春》などを紹介。松園ならではの品格と愛らしさを湛えた作品を目にすることができる。

古典に目を向ける

松園は早くから古画の図案を研究し、伝統芸能や古典文学をテーマに作品を残している。大正時代前半には人物の内面表現を追い求め、抒情豊かな作品を手がけるも、その後は気品あふれる作風へと到達することになった。第3章「古典を描く」では、能を舞う女性を描いた代表作、重要文化財《序の舞》や、日本舞踊の演目のひとつに着想した《汐くみ》など、画題を伝統に求めた名作を紹介する。

暮らしのなかの女性

人々の日常を数多く描いた松園は、明治時代には当時の風俗にも目を向けたものの、昭和時代になると、近代化が進む世の中から失われゆく風物を懐かしむ作品を残した。第4章「暮らしを描く」では、障子の破れを繕う女性を描いた松園晩年の名作《晩秋》や、振袖姿の娘が小鼓を打とうとする瞬間を描く《鼓の音》など、女性の暮らしのひとこまを捉えた作品を取り上げる。

展覧会概要

展覧会「生誕150年記念 上村松園」
会期：2025年3月29日(土)～6月1日(日)
［前期 3月29日(土)～5月11日(日) / 後期 5月13日(火)～6月1日(日)］
会場：大阪中之島美術館 4階展示室
住所：大阪府大阪市北区中之島4-3-1
開場時間：10:00～17:00(入場は16:30まで)
休館日：月曜日(4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)
観覧料：一般 1,800円(1,600円)、高校・大学生 1,500円(1,300円)、小・中学生 500円(300円)
※( )内は、前売および20名以上の団体料金
※前売券は、2025年1月15日(水)10:00から3月28日(金)23:59まで販売
※団体鑑賞を希望する場合、事前に大阪中之島美術館公式ホームページより申込のこと
※障がい者手帳などの所持者および介護者1名は、当日料金の半額(要証明。来館当日に2階のチケットカウンターにて申し出のこと)

【問い合わせ先】
大阪市総合コールセンター(なにわコール)
TEL：06-4301-7285(受付時間 8:00～21:00 / 年中無休)