ヒロイン・ウィンリィを演じるのは、大の原作ファンだという女優・モデルの本田翼。オフィシャルブログ「ばっさーんち。」でオススメのコミックを紹介するなど、大の漫画好きである彼女が、憧れの“ハガレン”実写化にどう向き合ったのか。劇場公開前に話を聞くことが出来た。
大好きな“ハガレン”が実写化。いち原作ファンとして最初に感じたことは。
一番初めに浮かんだのは「(実写化)出来るの?」っていう疑問。中途半端な錬金術をやってしまうと世界観が壊れてしまって悲しいな…と思いました。
でも、作品に入る前にいただいたデモDVDの迫力がすごくて。こんな仕上がりになりますっていうCG作品の入ったデモDVDを事前にいただいたんですが、その映像から監督の強い気持ちが伝わってきて。これならすごくいい作品になるだろうなって思いオファーを受けました。
本田さん含め、原作ファンも喜ぶことのできる仕上がりとなりましたか?
原作のいいシーン、ファンだったら絶対見たいだろうなというシーンが抜粋して詰め込まれています。そういう点で、元々ハガレンファンの人も楽しめるんじゃないかなって思います。
迫力は、実写映画版の方がすごいですよ。(ディーン・フジオカさんが演じた)焰の錬金術師・マスタング大佐の錬金術が映像で見るとすごいんですよ。漫画も迫力がありますが、炎は映像見るとやっぱり違う、火って力を持っているんだなって。
実写化にあたり一番心配だったところはクリアになりましたか。
心配だったのはコスプレ大会にならないように…ってところ。きっと皆同じところが不安だったと思います。だからこそ、すごく入念な打ち合わせや衣装合わせがありました。
衣装・ヘアメイクと言えば、公開前のビジュアル解禁時は「ウィンリィが金髪じゃない」ってインターネット上で話題になりましたね(笑)
私も最初同じ気持ちで、ウィンリィの髪色は金髪なのに…って思っていました。でも、監督と話して(山田涼介さん演じる)主人公のエドと並ぶと兄弟みたいに見えちゃうなって。それに金髪にしちゃうとコスプレっぽい感じが出てしまうというかキャラクター的すぎる。そういう懸念があって、今回ウィンリィはトーンを落として、明るい茶色くらいの髪色にしたんです。
映像を見てもらえば、意外とこのくらいでよかったんじゃないかなって思ってもらえると思います。
もう一つ気になったのはウィンリィの衣装。原作から想像すると作業服のイメージが強いのですが。
そうなんですよ!私も気になって、監督に「ウィンリィって作業着の印象があるんですけど…」って話したら今回はウィンリィが(エドの義肢・オートメイルを)修理するシーンが描けなかったと。修理のシーンがあったら、バンダナに作業着、チューブトップみたいな恰好させたんだけどねって話がありました。
でも、私は作業着が着たかった!劇場公開までの企画で誰か提案してくれないかな?って思っていたんですけど、なかなか来なくって…(笑)。もし第2部が公開されるならぜひ作業着姿で出演したいです。
本田さんから原作への熱い思いが伝わってきます。演じてみて、ウィンリィのイメージに変化はありましたか。
原作を読んでいる時、ウィンリィはとっても明るい子だなと思っていました。エドといつも喧嘩しているんだけど本当は仲がいい。憧れの幼馴染像だなって、エドとの関係性も見ていました。
自分が演じてみて、ウィンリィはとても周りを見ていて気遣いできる子なんだなと気付かされて。本当は自分も一緒に悲しみたいけど、無理やりテンションを上げたり、周りの空気をちゃんと考えてたり、自分が演じないとわからない部分でした。優しい子なんだなって思いましたね。
“ハガレン”キャラクターの中で恋するなら、ウィンリィ同様にやっぱりエドですか?
原作を初めて読んだ小学生の時は、完全にエドでした。でも歳をとって、今は(ディーン・フジオカさん演じた)マスタング大佐もいいなって思います。
“ハガレン”の好きなポイントは、登場キャラクターがみんな魅力的なところ。キャラクターがみんな素敵なので、敵キャラクターも全部好きになっちゃうんですよね。読み返すとまた違うキャラクターに惹かれたり、本当に何度も楽しめる作品です。
最近はまっている漫画はありますか?
実は、最近漫画をあんまり読んでいないんですよ、小説に注目していて。っていっても、東野圭吾さんの『秘密』と『虚ろな十字架』の2冊を読み終えたばかりなのですが。
「たまには本も読もうかな」と軽い気持ちで読み始めたら、「漫画だとキャラクターだけど本だと人間なんだ!」って、漫画と小説の決定的な違いに気づかされて。それが面白くなっちゃって、いまは本にはまっています。オススメの漫画は、見つけたら、インスタグラムでアップしますね!
ありがとうございます。ところで東野圭吾さんの書籍を選ばれたのはなぜですか。
本屋さんに行くのが大好きなんです。書店には、店員さんオススメの本とか、「今読むべき本」とかだとか、コメントが書いているじゃないですか。あのポップを見るのが好きで参考にしながら選んでいますね。知っている漫画は便利なので電子書籍で買ってしまいますけど、新しい出会いがあるのは本屋さんだなって思っています。
オフの日は、本屋さんに行く以外に何をされていますか?
ファッションも大好き。最近ロエベ(LOEWE)のコレクションを見る為にパリに行って、その時はバレンシアガ(BALENCIAGA)のコートを買いました。新デザイナーになってすっごい可愛くって注目しています。(バレンシアガのデザイナー デムナ・ヴァザリアが手掛ける)ヴェトモン(Vetements)も大好きなんです。
私普段の恰好がカジュアルなので、ヴェトモンみたいなオーバーサイズのコートはコーディネートしやすい。合わせるなら、ボトムスはスキニーパンツか8分丈か9分丈のクロップドパンツで、足元はローファーかな。
取材されたロエベも好きですか?
ロエベ(LOEWE)も大好きなブランドです。今季はニットが本当に可愛い。少し前には、テレビ番組『王様のブランチ』のロケ取材で、ロエベのTシャツを購入しました。オーバーサイズのTシャツはどこでも売っているけど、(購入した)ロエベのTシャツはぴたっとしていて。シルエットが新鮮だなと思って買いました。
おしゃれが大好きなんですね。
はい、日本のブランドも好きですよ。特に、トーガ(TOGA)とロキト(LOKITHO)がすごく好きで。ロキトは、デザイナーさんとも仲良くて、こないだパリで一緒にご飯食べに行きました。舞台映えするので衣装としてもよく着ているんですよ。
ファッション好きな本田さんからすると、やっぱりモデルは天職ですか?
今だに女優さんって言われるよりはモデルって呼ばれる方が落ち着きます。モデルは元々大好きなお仕事ですし、服も大好きなのでずっと続けたい。コンサバもモードもカジュアルも、いろんなジャンルを全部着こなせる人間になりたいなって思っています。
でも、同時に女優の仕事も頑張りたい。時に辛い時もあるけど、自分と全く違う人を演じられるのは人の感情を学ぶ機会になります。自分がしないような思考回路を改めて考えさせてくれるんです。
原作者の荒川弘は、原作漫画を子供、作品のマルチ展開を孫として捉え“ハガレン”の成長を見守ってきた人物。そんな作家と、彼女の作り出す世界観に魅了されてきた原作ファンの思いを最大限尊重するため、脚本の構想段階から原作の出版元スクウェア・エニックスと連携。監督、出版元、制作チームがチームを組み、「兄弟の旅」をテーマにストーリーを作り上げた。
曽利文彦監督がこだわったのは、原作ファンの中でも衝撃作であった「タッカーとキメラ(合成獣)」のエピソード。「ハガレンがシンプルなアクションヒーローものとして描かれたマンガではなく、人として見てはいけない世界の深淵をあえて突きつける位置づけの作品であることをタッカーの物語がハッキリさせた」とコメントし、このサブストーリーを大切にしている姿勢を明かしている。
主人公エドを担当した山田涼介は、危険を伴うアクションシーンを含め、すべてスタント無しで演じた。作品冒頭を飾るチェイスシーンは中でも見物。細い屋根の上を全速疾走し、その端から約7メートル下へ飛び下りるシーンからは、山田の度胸の良さとスタント演技の勘の鋭さを感じとることが出来る。