東京・表参道のギャラリーEYE OF GYREでは「石川直樹展 Halluci Mountain -幻の山-」を2012年11月22日(日)まで開催している。エベレストの写真と映像を中心に、写真家石川直樹が世界各地で撮影した「山」にまつわる作品によって構成される展覧会だ。

©Naoki ISHIKAWA

山は姿かたちを変えずにずっとそこにあるものだと思いがちだが、その山と自分との距離を近づけていくことによって、色も形も刻一刻と変化していく。実際に登っていけば、森があり、砂礫があり、岩があり、高山植物があり、雪がある。そして頂上では果てしない空と出会う。「『山』は不変の存在ではなく、自分との関係によって常に変化していく存在である」と語る石川は、人との関わりによって姿を変える無数の山のことを「HalluciMountain」と名付けた。

©Naoki ISHIKAWA

見慣れたあの山ではなく、未知の風景を抱え込んだ、いまここに屹立する頂き。こうした言葉以前の「山」そのものをフィルムによって焼き付けた渾身の作品群並ぶ本展には、2012年、まっさきに足を運びたい。

【アーティストプロフィール】
石川直樹(いしかわ・なおき/Naoki Ishikawa)
写真家。1977年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心をもち、行為の経験としての移動、旅などをテーマに作品を発表し続けている。写真集「THE VOID」(ニーハイメディア)により、さがみはら写真新人奨励賞、三木淳賞。「NEW DIMENSION」(赤々舎)、「POLAR」(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。「Mt.Fuji」(リトルモア)、「VERNACULAR」(赤々舎)を含む近年の活動によって東川賞新人作家賞。2010年、「ARCHIPELAGO」(集英社)により、さがみはら写真賞。2011年、「CORONA」(青土社)により、土門拳賞を受賞した。著書に「最後の冒険家」(集英社)ほか多数。2011年に上梓された「For Everest ちょっと世界のてっぺんまで」(リトルモア)では、世界の頂に再登頂を果たすまでの約半年間が、写真と文で克明に記録されている。

【展覧会詳細】
石川直樹展
Halluci Mountain -幻の山-
会期：2011年12月23日(金)～2012年1月22日(日) 11:00～20:00
会場：EYE OF GYRE/GYRE 3F
住所：東京都神宮前5-10-1
TEL：03-3498-6990
主催：GYRE
空間構成：JTQ 谷川じゅんじ
協力：HiRAO INC、SCAI THE BATHHOUSE