展覧会「生誕120年 東郷青児展 夢と現(うつつ)の女たち」が、2018年2月16日(金)から4月15日(日)まで、大阪・あべのハルカス美術館にて開催される。
東郷青児が生誕120年を迎える。弱冠19歳で仁科展に発表した《パラソルさせる女》で、日本最初期の前衛絵画として話題になり、昭和初期のモダンな美人画は近代女性のタイプを変えてしまったとも呼ばれる実力者。アール・デコ全盛期の1920年代にフランスへ渡り、ピカソとも交流。大胆さな画風と芸術家たちとの華やかな人間関係から、時を超えて今なお注目を集める人物だ。
東郷の生誕120年を記念して行われる「東郷青児展 抒情と美のひみつ」では、全4章に渡って、1950年代末までを中心とする作品61点と資料39件を展示する。
見所となるのは、デビュー作《パラソルさせる女》と代表作《サルタンバンク》。1916年に処女作として発表された《パラソルさせる女》は、キュビスムや未来派を取り入れた大胆な画風で、当時多くの人の目に斬新に映った。「未来派風」と呼ばれ、前衛的な新人として注目されたほど。また代表作である《サルタンバンク》は、パリに渡った東郷の姿を映し出すように、異邦人の郷愁を漂わせる。
アール・デコ全盛期の1920年代にフランスへ渡った東郷作品には、フランス仕込みのセンスが随所で感じられる。装丁本や雑誌の表紙絵、舞台装置の写真など、昭和モダン文化を彩ったデザインの仕事も紹介する。
東郷の周りを囲む芸術家たちは、著名な者が多く華やかだ。ピカソをはじめ、山田耕筰、有島生馬、古賀春江などと親交を結んでいる。帰国後は、宇野千代、川端康成と関係を深め、1930年代後半から40年代前半にかけては、藤田嗣治と共に百貨店の大装飾画に挑戦した。泰西名画調のモチーフをレパートリーに加え、近代的な女性美を描き出し、以後東郷の芸術家としての人生を大きく変える。藤田嗣治と競作した京都・丸物百貨店の対の壁画などを展示。
数多の恋愛エピソードを持つスキャンダラスな人生を背景に作られていった美人画「青児美人」は、東郷作品の中でもよく知られた作品群だ。本展では、陶器のように滑らかな画面に気品あふれる女性を描いた《紫》など、ますます洗練を極めていった美人画の数々も紹介。憂いを帯びた独特な女性像を通して、女たちとの苦悩や葛藤の経験を紐解いていく。
「生誕120年 東郷青児展 夢と現(うつつ)の女たち」
開催期間:2018年2月16日(金)~4月15日(日)
休館日:2月19日(月)、2月26日(月)、3月5日(月)、4月2日(月)
会場:あべのハルカス美術館
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
時間:火~金 10:00~20:00、月・土・日・祝 10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで。
料金:一般 1,300(1,100)円、大学・高校生 900(700)円、中学・小学生 500(300)円
※()内は前売および15名以上の団体料金。
※障がい者手帳を提示の本人とその付添者1人まで当日料金の半額。
※前売券は2018年2月15日(木)まで販売。
【問い合わせ先】
あべのハルカス美術館
TEL:06- 4399- 9050