展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が、東京都現代美術館にて、2020年2月16日(日)まで開催される。その後、兵庫県立美術館、福岡市美術館、青森県立美術館を巡回する。
皆川明は、1995年にミナ ペルホネン(minä perhonen)の前身となるミナを立ち上げ、以来、日本各地の生地産地とコミュニケーションを重ねながら“特別な日常服”をコンセプトとしたものづくりを行ってきた。今では、服だけでなく、インテリア、食器、空間デザインなど人々のライフスタイル全般に関わるクリエーションを行っている。
そして、「せめて100年つづけたい」という想いからはじめたブランドが、2020年で25周年を迎え、100年の4分の1に到達。この展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」を開催するにあたって「つづく」というキーワードが浮かびあがった。それは常に今から100年後を見つめ続けるミナ ペルホネンの時間的な継続性を想起させるとともに、つながる、重ねる、循環するなど、ものごとが連鎖して何かを生み出していく様を予感させる言葉でもある。
展覧会開催に際し、皆川は「いろいろな展示をしてみてもなお、人が一生でできるものは少ないと感じた」と話し、これからもものづくりを続けていきたい、と意欲を見せた。会場には、ミナ ペルホネン設立から、100年後を見据えた2095年まで続く年表も登場する。
会場内では、生地や衣服、インテリア、食器などのプロダクトに加え、印刷物やデザインの原画などが展示された。エントランスでは、これまでミナ ペルホネンが打ち出してきた多彩なテキスタイルがお出迎え。植物柄や動物のテキスタイルなど、入口を見ただけで、ミナ ペルホネンのクリエーションの多様さを予感させる。
ミナ ペルホネンのアイコニックな刺繍柄「タンバリン(tambourine)」にフォーカスしたスペースでは、「タンバリン」が初登場した時のウェアや、デザイン原画などを展示。25個の小さなドットから成る「タンバリン」の刺繍柄は、洋服だけではなく食器やぬいぐるみ、テーブルウェア、インテリアなどに用いられている。手描きの質感を丁寧に再現した、不均一ながらも温かみのある表情が魅力となっている。
「森」と題されたスペースでは、今までのアーカイブを、設立当初から2020年春夏コレクションに至るまで、シーズンの垣根なしに展示。「大量消費されていく服」に異を唱え、時を超えて愛用できる服作りを掲げるミナ ペルホネンならではの、普遍的なデザインが登場。アーカイブ400着以上が一堂に集結したスペースは圧巻だ。
プリント・織物・刺繍と様々な方法で表現されたテキスタイルの原画は、実際の生地とともに展示。生き生きとした図案と、生地になった時の豊かな表情を見て取ることができる。
また、アイディアのかけらやデザインのプロセスを紹介する「種」のスペースでは、クリエーションの背景を映し出したアトリエ・刺繍工場の映像や、様々な試みを反映したプロダクトを解説つきで紹介。展示品に添えられたキャプションを読みながら鑑賞するのがおすすめだ。国内外のブランド・クリエイターと協業したプロジェクトをはじめ、余り布を使って作られた「piece, bag」やデニムトート、ダメージ感を生かして修復されたデニムパンツなど、細やかなものづくりの過程を見て取ることができる。