特集展示「もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―」が、2019年7月30日(火)から9月8日(日)まで、千葉の国立歴史民俗博物館にて開催される。
「もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―」では、国立歴史民俗博物館が所蔵する国内有数の「怪談・妖怪コレクション」より、「百鬼夜行図」や、国内外で人気の高い浮世絵師・歌川国芳の「源頼光公館土蜘作妖怪図」など100 点の貴重な資料を紹介する。
江戸時代は、妖怪や幽霊などの怪異譚や図像の収集が流行。妖怪や幽霊をテーマにした絵本や錦絵なども大量に生産された。また、“怖さ”と“楽しさ”をエンターテインメント化した、幽霊を扱った歌舞伎・見世物や、今日のサブカルチャーにも通じる、キャラクター化された妖怪たちを描いた草双紙や妖怪絵本なども登場。幕末には、妖怪表現が風刺の記号の1つとして機能していた。
浮世絵版画の1ジャンルである「玩具絵」にも、妖怪や幽霊を題材にした作品が多く残されている。サイコロを振って遊ぶ絵双六や、特定のカテゴリーの図像を描き集める子供向けの「何々尽くし」、画面の一部をめくると絵が変わる仕掛け絵などに登場する化物たちは、どこか憎めないチャーミングさをもって描かれている。
3枚揃いの「悪夢集」と仮称されている「化物の夢」は、多色摺で摺られた錦絵シリーズ中の一図。吹き出し状に表現された夢の中は、モノクロームを用いて表現。首の長い見越し入道や一つ目小僧といった草双紙にも登場する化け物が、ほぼ墨のみで摺られている。
開く箇所によって異なる妖怪が現れる、手の込んだ仕掛けを施した「新板化物尽」は、船幽霊や三つ目、猫又、雪女、見越し入道、一つ目小僧など多彩な妖怪を描いた玩具絵。中央部分に位置する皿屋敷と累の2図をそれぞれ上にめくると、歌舞伎で有名な小幡小平次とお岩の幽霊に変わる。
歌舞伎における怪談物が流行し、定着していった歴史にも注目。四代目鶴屋南北作「東海道四谷怪談」の早替わりや戸板返し、提灯から幽霊が現れる仕掛けなどに見られる幽霊のダイナミックな演出をはじめ、大がかりな仕掛けによる幽霊の登場場面が、怪談物の流行を受けて役者絵に好んで描かれるようになる。
1851年初演の「東山桜荘子」では、浅倉当吾の幽霊が、恨みを持つ領主の織越大領を苦しめる場面が、歌川国芳や三代歌川豊国らの絵師によって、多彩なバリエーションで描かれている。
特集展示「もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―」
会期:2019年7月30日(火)~9月8日(日)
休館日:2019年8月5日(月)、19日(月)、26日(月)、9月2日(月)
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
※開館日・開館時間を変更する場合あり。
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室 B(千葉県佐倉市)
住所:千葉県佐倉市城内町117
料金:一般 600(350)円/大学生 250(200)円
※( )内は20名以上の団体料金。 ※高校生以下は入館料無料。
※高校生及び大学生の方は、学生証等の提示が必要(専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様)。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館無料。
【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:03-5777-8600(8:00~22:00)