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トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発、ロボットやAI技術を駆使した“テストコース"の街

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トヨタ(TOYOTA)は、静岡県裾野市に「ウーブン・シティ(Woven City)」と呼ばれる、実験都市を開発するプロジェクトをスタート。フェーズ1エリアが2025年秋以降に、オフィシャルローンチ予定だ。

  1. ロボットやAI技術を駆使、トヨタが作る未来都市
    1. 東京ドーム約15個分の土地に2,000人が入居
  2. 実験都市「ウーブン・シティ」の構想
    1. クルマ・道・人が三位一体となるテストコース
    2. 生活環境の中で新たなアイディアを開発&テスト
  3. 多彩な企業や個人が発明を担う"インベンターズ”に
    1. エネオスの知見を活かした、水素エネルギーの利活用
    2. NTTとのパートナーシップで「スマートシティプラットフォーム」を実現
    3. 日清食品やダイドードリンコも参加
  4. サステイナビリティを前提とした街づくり
  5. 建築家ビャルケ・インゲルスが都市設計を担当
  6. 詳細

ロボットやAI技術を駆使、トヨタが作る未来都市

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発、ロボットやAI技術を駆使した“テストコース"の街|写真3

2020年1月7日(火)、アメリカ・ラスベガスの世界最大規模のエレクトロニクス見本市「CES 2020」において発表された、トヨタによる「ウーブン・シティ」。目的は、ロボット・AI・自動運転・MaaS・パーソナルモビリティ・スマートホームといった先端技術を人々のリアルな生活環境の中に導入・検証する実験都市を新たに作り上げることだ。

パートナー企業や研究者と連携しながら、技術やサービスの開発・実証のサイクルを素早く繰り返し、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスが情報で繋がることで生まれる、新たな価値やビジネスモデルを見出す。

東京ドーム約15個分の土地に2,000人が入居

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発、ロボットやAI技術を駆使した“テストコース"の街|写真1

建設場所は、2020年末に閉鎖されたトヨタ自動車東日本株式会社 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地。東京ドーム約15個分に値する175エーカー(約70.8万平方メートル)の範囲で街づくりを進めていく。

2025年より住民が住み始め、徐々にリアルな実証の場として「ウーブン・シティ」を発展させていく。当初はトヨタ及びWbyTなどの関係者とその家族100名程度が住み始める。住民の数はフェーズごとに増加させていき、2024年10月に建築が完了したフェーズ1のエリアには約360名が居住予定だ。

最終的にはフェーズ2以降も含め2,000名程度が「ウーブン・シティ」に住むこととなる。住民にはトヨタ従業員やその家族をはじめ、定年を迎えた人や小売店舗、実証に参加する科学者、各業界の企業、起業家、研究者、そしてペットなどを想定しており、幅広い人々が「ウーブン・シティ」に集う見通しだ。

住人やビジターを表す名称「ウィーバーズ」

なお将来「ウーブン・シティ」に住む人や、街を訪れたビジターのことは、トヨタのルーツである自動織機から由来して「ウィーバーズ(Weavers)」という名称で定義する。ビジターについても関係者から受け入れを開始し、2026年度以降は一般人も「ウィーバーズ」として実証へ参加することができるようになる。

実験都市「ウーブン・シティ」の構想

クルマ・道・人が三位一体となるテストコース

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発、ロボットやAI技術を駆使した“テストコース"の街|写真16

「ウーブン・シティ」は、クルマ・道・人が三位一体となる“街”という形のテストコースの役割を担う。トヨタ社長 豊⽥章男は、2021年のトヨタイムズ放送部(トヨタ自動車運営のオウンドメディア)にて「裾野市全体がウーブン・シティになるわけではない」と前置きしたうえで、「自動運転車の目的は安全。ウーブン・シティはクルマの安全とともに、道、人を加えた三位一体で安全を確保するためのテストコース。ヒト中心の街をつくらない限り、安全な自動運転はできないと思い、ウーブン・シティをつくろうと決断した。」と述べている。

街を構成する3つの“道”

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発、ロボットやAI技術を駆使した“テストコース"の街|写真22

「ウーブン・シティ」は、日本語に直訳すると「編まれた街」の意。これは、街を通る道が網の目のように織り込まれたデザインに由来する。街の中の道は大きく3種類に分類され、モビリティのタイプや、歩行者が歩くかどうかによって分けられる。

1:「e-Palette」など、完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティのみが走行する道
2:歩行者とパーソナルモビリティが共存するプロムナードのような道
3:歩行者専用の公園内歩道のような道

これらが、まるで血管のように、それぞれが街の交通や物流において重要な役割を担う。なお、人々の暮らしを支える物流センターは、地下に設置される。

生活環境の中で新たなアイディアを開発&テスト

トヨタが実験都市「ウーブン・シティ」を静岡に開発、ロボットやAI技術を駆使した“テストコース"の街|写真5

「ウーブン・シティ」が目指すのは、ヒトやモノ、情報、そしてエネルギーがより活発に動くことのできる「モビリティの拡張」と「未来の当たり前を発明」するための仕組みづくり。「ウーブン・シティ」においては、働く人、住む人、訪れる人各々が“発明者”として、生活する中で感じた困りごとやアイディアを共有する。“街”というリアルな生活の場を通して、浮かび上がったアイディアを実現させるまでの方法や効果を暮らしの中でテストしていく。

たとえば、人工知能(AI)の活用を含む自動運転テクノロジーをはじめ、夜間に安全に帰宅をエスコートしてくれるドローンや、高齢者に寄り添うペットロボット、家事ロボット、渋滞なしに移動できる空飛ぶクルマといったテクノロジーを「ウーブン・シティ」で開発し、実証することを想定している。

また、発明とテストの過程で困難が生じたときには、発明を加速させるためのサポートも実施。リアル・デジタルの両側面でものづくりのサポートをしたり、事業立ち上げ・拡大を支援したりと、アイディアをすばやく実現へと発展させるための試みを行う。

多彩な企業や個人が発明を担う"インベンターズ”に

「ウーブン・シティ」において発明を行うのは、トヨタやWbyTを含むトヨタグループ企業だけでなく、トヨタ以外の企業やスタートアップ、起業家なども含まれる。様々な企業や個人が発明家=“インベンターズ”として、「ウーブン・シティ」に集うこととなる。

エネオスの知見を活かした、水素エネルギーの利活用

まず、エネオス(ENEOS)をコアパートナーに迎えて、水素エネルギーの利活用を進めていく。四大都市圏において商用水素ステーションを45カ所展開する、水素事業のリーディングカンパニーであるエネオスの知見を活かし、水素を“つくる”、“はこぶ”、“つかう”という一連の流れを実現する。

「ウーブン・シティ」の隣接地(静岡県裾野市御宿字朴ノ木平1576番3)に水素ステーションを建設し、製造したCO2フリー水素を乗用車や商用車など様々な燃料電池車(FCEV)に供給するだけでなく、パイプラインで「ウーブン・シティ」への供給も行う。なお、水素ステーションの運営開始は、2024年から2025年の開所前を予定している。

Photos(26枚)

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