現在、パリ市庁舎サン=ジャンの間において、伝説的ファッションデザイナーによる傑作ばかりを集めた「パリ・オートクチュール」展が開催中だ。開催期間は2013年7月6日(土)までで、入場料は無料。残念ながら日本で見ることはできないが、そんな方のために今回は展示作品の中から22点をご紹介。
「パリ・オートクチュール」展では、ガリエラ・モード博物館のオリヴィエ・セイヤール館長とキュレーターのアンヌ・ザゾが同館所蔵コレクションから、最も美しく繊細なオートクチュール作品約90を厳選。これだけのオートクチュール作品が一堂に会するのはパリでも初の快挙。また、世界的ファッションメゾンの舞台裏や作品の着想から完成までのプロセスがわかる、スケッチや写真もふんだんに展示。オートクチュールを舞台裏で支えてきた縫製、刺繍、羽毛細工などの何千人にものぼる職人たち。これまで匠の伝統の技は受け継がれ、ファッションの中心地としてのパリの影響力の礎となっている。
展覧会を協賛するスワロフスキーもオートクチュールの関係は深い。オートクチュール発展期の1895年に、ダニエル・スワロフスキーはクリスタルのカットと研磨を行う革命的な技術を発明し、間もなくオートクチュール・デザイナーとの協力関係をスタートさせた。初のコラボレーションは、1900年にクチュリエのワースがデザインしたスワロフスキー・クリスタル刺しゅうの作品。その後もジャンヌ・ランバン、ガブリエル・シャネル、エルザ・スキャパレリといった第一線のクチュリエがクリスタルを作品にさりげなく採り入れる一方、1950年代にはジャック・ファットとクリストバル・バレンシアガがきらびやかなクリスタル使いでファッションシーンを圧倒した。
左) クリスチャン・ディオール - イブニングガウン“Palmyre"(1952年) シルクサテンにクリスタルとパールの刺繍
右) マドレーヌ・ヴィオネ - (1931年頃) シルクサテン、クリスタル装飾のベルトバックル
■オートクチュールについて
「オートクチュール」の名称は1945年からフランスの政令によって法的に保護されている。この名称を使用するには、アトリエで手仕事による作品を2着以上作ること、独創性の高いオーダーメイドであること、1コレクションが75点以上で構成されていること、年に春夏と秋冬の2回キャットウォーク・ショーを行うこと、一定の面積の布地を使うことなど、さまざまな基準を満たさねばならない。
■パリ市ガリエラ・モード博物館について
ガリエラ・モード博物館は10万点に近いドレスやスーツとアクセサリーのコレクションを所蔵。18世紀から現代までのフランスのあらゆるファッションスタイルと服飾習慣を網羅しており、そのうち1万点近くがオートクチュール・デザインで占められている。
【展覧会情報】
パリ・オートクチュール
主催:パリ市、パリ市ガリエラ・モード博物館
特別協賛:スワロフスキー
開催期間:2013年3月2日(土)~7月6日(土)
休館日:日・祝
開館時間:10:00~19:00
場所:パリ市庁舎
住所:Hôtel de Ville, Salle Saint-Jean, 5 rue Lobau, 75004 Paris
【ブランド・デザイナー一覧】
バルマン(BALMAIN)、Beer、カルヴェン(CARVEN)、シャネル(CHANEL)、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)、クリスチャン ラクロワ(Christian Lacroix)、グレ(Gres)、ジャン・パトゥ(Jean Patou)、Jerome、ランバン(LANVIN)、マドレーヌ・ヴィオネ(Madeleine Vionnet)、メゾン アグネス(Maison Agnès)、ミュグレー(MUGLER)、Premet、スキャパレリ(Schiaparelli)、シャルル フレデリック ウォルト(Charles Frederick Worth)、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)
※アルファベット順