企画展「栖鳳の時代 ~匂いまで描く」が、京都の福田美術館にて、2021年3月1日(月)から4月11日(日)まで開催される。なお、開始日は2月13日(土)から変更となった。
竹内栖鳳は、1,000年以上にわたり伝統文化を育んできた街・京都が生んだ日本画の巨匠だ。明治維新期の荒廃した京都に生まれ育った栖鳳は、まず日本画技法の主流・四条派の絵を学び、円山派や狩野派、南画といった伝統的な画風のみならず、ターナーなど当時最新の⻄洋画や写真の要素をも貪欲に吸収したのだった。
企画展「栖鳳の時代 ~匂いまで描く」では、匂いや音、湿気までもが感じられると評された、栖鳳の動物画と風景画の大作を中心に、師匠の幸野楳嶺、四天王と称された同輩、そして個性豊かな教え子の作品も展示。近代京都画壇の作品60点から、栖鳳たちが活躍した時代の息吹を紹介する。
円山応挙を祖とする円山派と、その弟子の呉春に始まる四条派の両方を継承した幸野楳嶺は、優れた教育者として多くの弟子を育てた。そのなかでも、竹内栖鳳、菊池芳文、都路華香、谷口香嶠は“四天王”と呼ばれ、近代京都画壇の隆盛に貢献した。第1章では、栖鳳《金獅図》をはじめ、幸野楳嶺《蓮華之図》や都路華香《好雨帰帆図》など、京都画壇に革新をもたらした彼らの作品を紹介する。
多彩な画風や様式を自在に組み合わせ、新しい日本画を作り出そうとした栖鳳の作風は、さまざまな動物が混ざった妖怪に喩えて「鵺(ぬえ)派」などとも評された。そうした栖鳳は、徹底した写生を行なったのちに選び抜いた線のみを画面に残す画法「省筆」により対象の本質に迫るとともに、画面の余白の取り方といった表現も探究したのだった。第2章では、《水風清》や《水邨驟雨図》など、省筆と余白が印象的な作品を中心に展示する。
ところで、海や川、深い山々など、日本の自然を描くうえで欠かせない色彩が“青”である。古来日本では、緑色も青と呼んでいた。第3章では、穏やか海を群青で描いた《海光清和》といった栖鳳の作品とともに、小野竹喬《黎明》や池田遙邨 《灯台道》など、栖鳳の弟子による青色が印象的な作品に光をあてる。
企画展「栖鳳の時代 ~匂いまで描く」
会期:2021年3月1日(月〜4月11日(日) 会期中に一部展示替えあり
[前期 2021年3月1日(月)~3月22日(月) / 後期 3月24日(水)~4月11日(日)]
※開始日は2月13日(土)から変更
会場:福田美術館
住所:京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町3-16
休館日:火曜日
開館時間:10:00〜17:00 (最終入館 16:30)
料金:一般・大学生 1,300円(1,200円)、高校生 700円(600円)、小中学生 400円(300円)、障がい者と介添人1名まで700円(600円)
※( )内は20名以上の団体
※画像写真の無断転載を禁ずる。
【問い合わせ先】
福田美術館
TEL:075-863-0606