企画展「生誕120周年 髙林和作─サバクに立つ画家の眼差し─」が、大阪・堺のさかい利晶の杜にて、2021年2月13日(土)から3月21日(日)まで開催される。
髙林和作は、戦前から戦後を生きた堺出身の画家だ。渡仏してフォーヴィスムなどの影響を受けた髙林は、青を基調に色の対比を意識しながら線描を重ねる作風を確立。帰国後は京都を拠点に活動し、京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)の西洋画科で須田国太郎らとともに教鞭を執った。
髙林が生きたのは、日本において西洋画の受容と日本的油絵の創成が模索された時代。そうしたなかで髙林は、新様式を追従し技術を偏重する当時の洋画壇を嘆き、その状況を「サバク」にも喩えている。企画展「生誕120周年 髙林和作─サバクに立つ画家の眼差し─」では、この「サバク」にあって髙林が展開した、独自の画業をたどる。
髙林は、日本では専門的な美術教育を受けることがなかった。本格的に洋画を学んだのは、1928年にパリに留学してからのこと。この地でフォーヴィスムの流れを汲むオトン・フリエスと、キュビスム以後の写実主義を代表するアンリ・ド・ヴァロキエの2人に師事し、自らの芸術観の土壌を培ったのだった。第1章では、青みを基調にしながらも堅実な作風にまとめられた、《水車小屋》などの初期作品を展示する。
1932年に帰国後、髙林は京都を拠点に京都市立美術大学で教鞭を執りつつ、関西圏の風景を多く描くことになる。そのなかで、自らの気に入った場所を幾度と訪れ、色の対比を意識し線描を重ねる表現を探求したのだった。第2章では、《中書島風景》や《河岸の秋》など、もの自体の固有色にとらわれず純粋な色の対比に基づいた、髙林独自の作風が見て取れる作品を目にすることができる。
1965年に京都市立美術大学を退職した髙林は、遠方での制作旅行を精力的に行うようになる。和歌山・紀伊大島や九州地方などの旅先で手掛けられた作品は、比較的大まかな筆致で描かれており、物のかたちは曖昧にされている。個々の存在は主張されず、潮の香りをのせた風や湿潤な大気を通した光が、みずみずしい色彩とのびやかな線によって捉えられている。第3章では、《港の春》をはじめ制作旅行で描いた作品を、旅先の髙林が家族に送った絵はがきの内容とともに紹介する。
企画展「生誕120周年 髙林和作─サバクに立つ画家の眼差し─」
会期:2021年2月13日(土)〜3月21日(日)
会場:さかい利晶の杜 企画展示室
住所:大阪府堺市堺区宿院町西2-1-1
休館日:第3火曜日(2月16日(火)、3月16日(火))、2月15日(月)
開館時間:9:00〜18:00(入館は17:30まで)
観覧料:一般 300円、高校生 200円、小中学生 100円
※「千利休茶の湯館」「与謝野晶子記念館」の観覧券で企画展も観覧可
【問い合わせ先】
さかい利晶の杜
TEL:072-260-4386