展覧会「くまもとの絶景—知られざる日本最長画巻『領内名勝図巻』—」が、東京・目白台の永青文庫にて、2025年4月26日(土)から6月22日(日)まで開催される。
熊本の滝や名所、川沿いの風景といった絶景を、全15巻にわたって描いた《領内名勝図巻》。江戸時代、熊本藩のお抱え絵師であった矢野良勝(やの よしかつ)と衛藤良行(えとう よしゆき)が手がけた同作は、縦約60cmという大迫力のパノラマを展開するとともに、全巻を合わせた長さは400mに及び、日本最長の画巻とされる。
「くまもとの絶景—知られざる日本最長画巻『領内名勝図巻』—」展は、熊本県指定重要文化財である《領内名勝図巻》を公開する展覧会。現存14巻のうち、選りすぐりの7巻を通して、迫力に富んだ風景描写と制作背景を紹介する。
《領内名勝図巻》には、山や海から見た景色、川沿いの風景、名所や奇観など、熊本の広範囲におよぶ大自然が描かれている。制作を命じられた矢野と衛藤は、こうした名所や絶景に足を運び、現地取材を行っていたようだ。同作は、絵師が現地取材のもとで手がけた写生図巻の先駆的作例として、貴重なものだといえる。本展では、《領内名勝図巻》における圧巻の風景描写に光をあててゆく。
《領内名勝図巻》の制作を命じたのが、熊本藩8代藩主の細川斉茲(ほそかわ なりしげ)だ。絵画好きの大名として知られる斉茲は、中国絵画に加えて、谷文晁(たに ぶんちょう)や司馬江漢(しば こうかん)など、同時代に江戸で活躍していた絵師の作品を熊本に持ち帰るほか、自ら花鳥図や風景画などを手がけた。本展では、斉茲の《猫図》に加えて、谷文晁《東海道勝景図巻》や杉谷行直《富士登山図巻》といった作品も公開する。
令和7年度初夏展「くまもとの絶景—知られざる日本最長画巻『領内名勝図巻』—」
会期:2025年4月26日(土)〜6月22日(日)
会場:永青文庫
住所:東京都文京区目白台1-1-1
開館時間:10:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)
入館料:一般 1,000円、高校・大学生 500円、70歳以上 800円
※中学生以下、障害者手帳の提示および介助者(1名)は無料
【問い合わせ先】
永青文庫
TEL:03-3941-0850