特別展「ボイス+パレルモ」が、大阪の国立国際美術館にて、2021年10月12日(火)から2022年1月16日(日)まで開催される。
ヨーゼフ・ボイスは、第二次世界大戦以降の最も重要な芸術家のひとりである。社会を彫刻と捉えてその変革を企てたボイスは、“アクション”と呼ばれるパフォーマンスや造形作品などを通して、広く公衆に語りかけ続けた。
その一方でボイスは、教育者として多くの芸術家を育成した。ブリンキー・パレルモはその教え子のひとりだ。パレルモは若くして没したものの、短い期間に手がけられた繊細にして抽象的な作品群は、絵画の構成要素を再構築することで人びとの認識を問い直すものであった。
積極的に社会へ働きかけたボイスと静謐な作品を残したパレルモは一見対照的ではあるものの、芸術を生の営みへと取り戻そうと試みた点では共通していた。日本では約10年ぶりのボイス展であり、公立美術館では初のパレルモ展となる特別展「ボイス+パレルモ」では、主に1960-70年代に手がけられた両者の作品から、社会と芸術の関係性を再考する。
「社会彫塑」を提起するヨーゼフ・ボイスの思想は、20世紀美術において大きな影響力を持った。しかし本展では、ボイスの「作品」や造形行為に改めて着目。1960年代の最重要作品である《ユーラシアの杖》や、自身にとって重要な「素材」であった脂肪とフェルトを使用した作品など、大型作品を含む約80点の作品を展示する。
また、ボイスの芸術実践において、“アクション”は核となるものであった。実際、《ユーラシアの杖》も含めて、多くのボイス作品はアクションで用いられた素材や道具に由来している。会場では、1984年の来日時のナム・ジュン・パイクとの共演「コヨーテIII」など、代表的なアクションの映像7本を、ボイス作品とともに目にすることができる。
一方、ボイスに学んだブリンキー・パレルモは、1960年代半ばからの短い活動期間に、絵画のあり方それ自体をカンヴァスや木枠といった構成要素から再構築しつつ、美術と身近な日常を静かに接続する作品を手がけた。
本展では、既製品の布を縫い合わせることで抽象絵画のように見立てた代表作「布絵画」シリーズや、今日では現存しない壁画作品のドキュメン テーション、小さな金属パネルを組み合わせた「金属絵画」シリーズなど、約50点を展示する。
特別展「ボイス+パレルモ」
会期:2021年10月12日(火)〜2022年1月16日(日) 会期中に一部展示替えを実施
[前期 10月12日(火)〜11月28日(日) / 後期 11月30日(火)〜1月16日(日)]
会場:国立国際美術館 地下3階展示室
住所:大阪府大阪府大阪市北区中之島4-2-55
開館時間:10:00〜17:00(金・土曜日は20:00まで)
※入場は閉館30分前まで
休館日:月曜日(1月10日(月・祝)は開館)、12月27日(月)〜1月3日(月)、1月11日(火)
観覧料:一般 1,200円(1,000円)、大学生 700円(600円)、高校生以下・18歳未満 無料(要証明)
※( )内は20名以上の団体料金および夜間割引料金(対象時間:金・土曜日の17:00〜20:00)
※心身障がい者と付添者1名は無料(要証明)
※本料金で、同時開催の「コレクション1:1968年展─新しいパラダイムを求めて─」も観覧可
※会期・開館時間などは変更となる場合あり(最新情報はホームページなどにて確認)
■終了した会場
・豊田市美術館
会期:2021年4月3日(土)〜6月20日(日)
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
・埼玉県立近代美術館
会期:2021年7月10日(土)〜9月5日(日)
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
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【問い合わせ先】
国立国際美術館
TEL:06-6447-4680 (代表)