展覧会「アペルト14 原田裕規 Waiting for」が、金沢21世紀美術館にて、2021年10月17日(日)まで開催される。なお、当初は10月10日(日)の閉幕を予定していたものの、延長された。
若手作家を中心に個展形式で紹介する「アペルト」シリーズ。「アペルト14 原田裕規 Waiting for」では、1989年生まれのアーティスト、原田裕規を取り上げる。
原田裕規は、バブル期に人気を集めた画家クリスチャン・ラッセンや、オカルトブームを牽引した心霊写真など、ある時代の視覚文化において確かな位置を占めているにもかかわらず、美術史の周縁として扱われてきた存在をモチーフとしてきた。
公立美術館での初の個展となる本展では、2017年より継続的に取り組んできた「心霊写真」シリーズの《One Million Seeings》と、2年ぶりの新シリーズ第一作目となる3D映像作品を組み合わせ、 映像インスタレーションとして発表。2つの長編映像を、数日間にわけて全編上映する予定だ。
原田は2017年より、不用品回収業者などによって回収された引き取り手のない写真を集め始めた。《One Million Seeings》では、原田が「心霊写真」と呼ぶこうした写真を、作家自身が1枚1枚手に取って見つめる様子が24時間にわたって映しだされる。それは、いずれ記憶からも歴史からもこぼれ落ちてゆくだろうイメージに視線を投げかけ、身体化する行為だといえる。
一方、新作の映像作品《Waitingfor》で映しだされるのは、オープンワールドゲームなどに用いられるCGIによって作られた「100万年前/後の風景」の風景。人工的に作られたこの架空の世界には、作家自身が30時間にわたって、地球上に現存するすべての動物の名前を呼び続ける声が響きわたる。
これら2作品のいずれにも、膨大な情報と向き合い、それを身体化しようとする人間の姿が映しだされている。それを原田は「Waiting(待つこと/待ちながら)」という言葉で表現している。本展では、日々膨大な情報を手にしては捨てさる現代にあって、世界と向き合うひとつの態度にふれられるだろう。
展覧会「アペルト14 原田裕規 Waiting for」
会期:2021年6月15日(火)〜10月17日(日)
※5月29日(土)からの開幕を予定していたが、6月13日(日)までの休館に伴い延期
※7月31日(土)〜9月30日(木)は休止
※10月10日(日)の閉幕を予定したいたが延長
会場:金沢21世紀美術館 長期インスタレーションルーム
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
開場時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休場日:月曜日、休止期間
料金:無料
【問い合わせ先】
金沢21世紀美術館
TEL:076-220-2800