ドキュメンタリー映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』が、2021年9月17日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開。
メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)の創業者・デザイナーであり、常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けたマルタン・マルジェラ。ファッション界に多大な影響を与えながら、キャリアを通して一切公の場に姿を現さず、匿名性を貫いたミステリアスな人物としても知られている。
これまでも、撮影・対面インタビューにも応じることのなかったマルタン・マルジェラだが、ドキュメンタリー映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』では、これまでの<ルール>をついに打破。重い沈黙を破って、“マルジェラ本人の言葉”でキャリアやアクティビティを綴る、異例のドキュメンタリー作品が誕生した。
映画の中では、初めて公表するドローイングや膨大なメモ、7歳で作ったというバービー人形の服などプライベートな記録を見せ、ドレスメーカーだった祖母からの影響、ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)のアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、世界的ハイブランド、エルメス(HERMÈS)のデザイナーへの抜擢就任、そして51歳にして突然の引退――その全てをカメラの前でマルジェラ自身の声で明かしている。
解禁された場面写真には、初期マルジェラの代表作の⼀つであるコルクネックレス、マルジェラの代名詞とも⾔える四隅の⽩いステッチなどがうつっており、劇中に貴重な資料が多数登場することを伺わせる。
デビューショーのラインウェイ画像やアトリエ⾵景などもあり、謎に包まれてきたマルタン・マルジェラの秘密の一旦を垣間見ることができる。
不可能とも思えたこの作品を作り上げたのは、世界中で決定的瞬間を捉え続けてきた写真家集団を追ったドキュメンタリー映画『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』や、ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』を手掛けたライナー・ホルツェマー。
これまで30本以上のドキ ュメンタリー作品を発表してきたドキュメンタリーの名手が、難攻不落と思われたマルタン・マルジェラ本人の信頼を勝ち取り、「このドキュメンタリーのためだけ」「顔は写さない」という条件のもと、謎に包まれてきた“マルタン・マルジェラの素顔”を少しずつ明らかにする。
ホルツェマーは、ちょうど展覧会の準備中だったというマルタン・マルジェラにメールを送ったことが製作のきっかけだったと明かしており、当時のことを後述のように振り返っている。どうやら、前作『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』が、本人からの承諾を得る鍵となったようだ。