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映画『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にインタビュー、伝説の小説の“ポエトリー”

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映画『DUNE/デューン 砂の惑星』が、2021年10月15日(金)に公開される。その監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴにインタビューを実施。SF映画に感じる魅力、作品の表現で追求するもの、そして今後の展望について話を伺った。

SF映画と『DUNE/デューン 砂の惑星』の位置

ドゥニ・ヴィルヌーヴ インタビュー|写真1

──ヴィルヌーヴさんは近年、『メッセージ』、『ブレードランナー 2049』、そして本作『DUNE/デューン 砂の惑星』と、続けてSF映画を手がけています。SF映画が独自に持つ面白さとは何でしょう。

SF映画を通して、わたしたちは現実をよりダイナミックに、しかし「距離をおいて」見ることができます。

ですから、たとえば政治や宗教といった要素を作品の中で混ぜ合わせることができるのです。けれども、作品の舞台は未来に設定されているため、誰も逆なですることがありません。その意味でSF映画とは、攻撃的なテーマをよりエレガントに、妥当なかたちで観客に提示することができるアプローチなのです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ インタビュー|写真22

──元からSFはお好きだったのでしょうか。

小さい頃、SFをたくさん読んでいました。そのなかで、ヨーロッパのグラフィックノベルのアーティストからはたくさんの影響を受けています。わたしにとってSF映画を作るというのは、自分の故郷に戻ることのようだといえます。

──そのなかで、小説『デューン/砂の惑星』映画化の背景は何でしょうか。

『デューン/砂の惑星』を映画化する際に根底にあったのは、原作の小説が持っている“ポエトリー=詩情”を映画のスクリーンに展開したいということでした。ですからわたしにとって、この映画は原作者フランク・ハーバートに対するラブレターを書いているようなものです。

また、この作品は宗教と政治という非常に危険な要素を混ぜ合わせたものでもあります。映画を通して、宗教と政治、そして母と息子の関係を探求するという意図もありました。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ インタビュー|写真11

──『デューン/砂の惑星』の映画化に際してどのような点に気を配りましたか。

原作がもともと持っている詩的な部分を守るということです。そして、『デューン/砂の惑星』のハードコアファンが大切にしている部分をしっかりと残す一方で、まったく原作を知らない人も入り込みやすいようにしました。

──これまでにヴィルヌーヴさんが手がけた作品と比較したとき、『DUNE/デューン 砂の惑星』はSF作品としてどのような魅力を持っていますか。

これまでの2作のSF映画よりも、『DUNE/デューン 砂の惑星』は物語がより複雑です。つまり本作は、宗教や政治ばかりでなく、エコロジー、そして遺伝や家族の遺産を引き継ぐことに対する若者の感情も主題化しています。作品としての多層性が本作の魅力だと思います。

表現──思考への誘い

ドゥニ・ヴィルヌーヴ インタビュー|写真6

──『DUNE/デューン 砂の惑星』では、スケールの大きい映像表現や、迫力のある音響効果が特徴的です。映像や音響の表現では何を追求していますか。

わたしにとって、ストーリーテリングこそが全てです。ですから、映像や音響の表現を通して、観客が主人公の立場に身を置き、旅を一緒にできるようになることを念頭に置いています。

本の中では、読者は言葉を介して登場人物の思考プロセスにふれることができます。一方で映画において、わたしは観客に、登場人物は何を考えているのかにアクセスするきっかけを与えるようにしています。そのために、上映空間と音楽の協奏によってインパクトを生みだし、登場人物の内的な思考を伝えてゆきたいと考えているのです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ インタビュー|写真12

──映画という表現媒体ならではの発想ですね。

本作は、映画というものをデザインし直すことから生まれた、大きなスケールの劇場体験に対するわたしなりのラブレターです。ですから、やはり大きいスクリーンで観ることでこの作品をいちばん楽しめるし、その強みがわかると思うので、ぜひ劇場で観ていただきたいです。

人間・自然・技術

ドゥニ・ヴィルヌーヴ インタビュー|写真23

──リアリスティックな表現は、ひとつには技術の革新によって可能になるといえます。人間と技術の関係をどのようにお考えでしょうか。

これまで人間は、テクノロジーを使って自然を支配する傾向があったと思います。本来ならば、人間は自然の一部であって、共生的な関係を持つべきです。

本作を組み立てるにあたっても、わたしは人間に謙虚さを与えること、つまり、人間を自然の中に取り戻してゆく、生態系の中に人間を組み入れるということを意識していました。

思うに、人間の未来は、自然と取り結ぶより謙虚な関係にかかっているのではないでしょうか。

展望

ドゥニ・ヴィルヌーヴ インタビュー|写真9

──最後に、『DUNE/デューン 砂の惑星』の第2部も含めて、これからの展望をお聞かせください。

第2部を実現させるかどうか、今の段階ではわかりません。それは、第1部を観た方がどれだけ熱狂してくれるかにかかっています。今は、第2部を製作できることを願うのみです。

もともと、この映画を2つのパートに分けるというのは、わたし自身のアイディアでした。ですから、自らそれに挑戦し、賭けに出たわけですから、自分が語り始めた物語を無事に完結することができればよいと、まずは考えています。

作品概要

『DUNE/デューン 砂の惑星』
公開日:2021年10月15日(金)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:エリック・ロス ジョン・スペイツ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:フランク・ハーバート『デューン/砂の惑星』(邦訳=ハヤカワ文庫刊)
出演:ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ジョシュ・ブローリン、ゼンデイヤ、ジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム
配給:ワーナー・ブラザース映画

©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

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