下蒲刈島(しもかまかりじま)は、古くから瀬戸内の交流の要所として栄え、朝鮮通信使や参勤交代の西国大名の寄港地として重要な位置を占めていた。島内には、その頃の名残を感じられる文化施設が点在しており、古き良き文化を感じるとともに素朴な島らしい風景を眺めてのんびり過ごすことができる。
下蒲刈島の歴史と文化を紹介する場所として、特に有名なのが松濤園。4つの資料館からなる館内には、世界記憶遺産に登録された朝鮮通信使に関する記録が残されている。松を主樹としたみどり豊かな落ち着きと潤いのある庭園は、海の景色と美しく調和し、訪れる者の心を癒す。
「蘭島閣美術館」は、島に続く石畳の道と調和する、荘厳な本格的木造建築の美術館。館内には、日本の近代絵画を代表する作品や、郷土ゆかりの作家の作品などを展示しており、日本画、油彩画、素描など含め約2,200点のコレクションから選ばれた作品を企画展示している。
江戸時代当時の面影を今だ残す白雪楼。一階にある可動式の壁「どんでん返し」を備えた和室は、現在ほとんど残っておらず貴重とされる建築形式だ。まるでタイムスリップしたような気分を味わいながら、1階の座敷では抹茶と和菓子を味わうことができる。島旅のいっぷくにも最適な場所。
昨今女性を中心に人気を集めているのが、“うさぎ島”として有名な大久野島だ。島に着くなり、すぐにうさぎたちがお出迎え。島内ではペレットを販売しているが、キャベツや人参などうさぎの好物を持参するのもいいだろう。うさぎたちとのふれあいを楽しむことができる。また、フェリー乗り場のすぐそばにあるうさぎの耳収音器に立ち寄るのもお忘れなく。
かつて大久野島は、秘密裏に毒ガス兵器を製造していたことから“地図から消された島”と呼ばれていた。そして、70年が建った今、毒ガスを製造する過程で多くの犠牲者を出すに至った、その悲惨さを訴え、恒久平和を願う目的で「大久野島毒ガス資料館」が建設された。なお、当時の建物は島内に点在し、芸予要塞時代の砲台跡も残っている。
島旅の宿泊施設候補として、大久野島唯一の宿泊施設「休暇村大久野島」を選んでみては。うさぎがのんびりと暮らす芝生と瀬戸内海を望む客室のほか、温泉、レストラン&カフェ、売店なども完備している。神経痛や冷え症、疲労回復などの効能がある天然ラドン温泉は、旅の疲れをしっかりと癒してくれる。
また、うさんちゅカフェで人気を博す「ウサギのはなくソフトクリーム」は、旅に欠かせないグルメのひとつ。「うさぎの鼻くそ」を表現するココアピーナッツをトッピングしたソフトクリームで、追加料金で「うさぎの鼻くそ」を追加できる。
“もうひとつの軍艦島”としても注目を浴びる「契島」は、島がまるごと東邦亜鉛の工場となっているため、降り立つことはできない。しかし異質な存在感を放つその風景は写真に収める価値がある。なお、東邦亜鉛の専用船、またはJR西日本が手掛ける観光型高速クルーザー「SEA SPICA」で、接近してその風貌を眺めることができる。
昨今注目を浴びる島のひとつ「生口島」は、“映える”スポットが目白押し。また、サイクリングコースとしてもおすすめで、海岸沿いで美しい景色を眺めつつ、心地よい潮風を切りながら自転車旅を楽しむことができる。
ひと際煌びやかな見た目で、訪れるものを圧倒する生口島屈指の観光地、耕三寺と耕三寺博物館。堂塔は、全国各地の国宝建造物を手本として建てられており、例えば、日光東照宮陽明門を原型とする孝養門、京都宇治平等院鳳凰堂を原型とする本堂、室生寺五重塔を原型とする五重塔など見所が多数。またその美しい見た目から写真スポットとしてもふさわしい。