展覧会「写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて」が、東京都写真美術館にて、2022年3月2日(水)から5月8日(日)まで開催される。
かつて函館は「箱館」と呼ばれ、異文化圏と接する最北端の地であった。幕末期に開港すると、明治日本が近代化の道を歩むなかで、函館は北海道開拓の起点として重要な役割を果たすようになる一方、ロシア人によって伝えられた技術を基に写真文化が花開くこととなった。
早期に写真技術が伝来し、浸透した函館には、この土地の当時の姿を写した写真が数多く残された。展覧会「写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて」では、日本初公開を含む貴重な初期写真のオリジナルプリントや資料を通して、近代へと変貌してゆく「はこだて」の足跡を3章構成で紹介する。
第一章では「はこだて」の歴史に着目。かつて蝦夷地と呼ばれた北海道の拠点であった箱館が幕末期に開港すると、ロシアをはじめ各国の領事館が置かれ、欧米の技術と文化が伝えられるようになる。戊辰戦争最後の戦いとなった箱館戦争を経て、1869年に箱館は函館へと改名、北海道行政の拠点となった。1871年に行政の中心が札幌に移ったのちも、函館は北の港湾都市として発展した。本章では、田本研造《箱館奉行所》や江崎礼二《ニコライ像》といった初期写真に加えて、箱館戦争の錦絵や浅野文輝の多色刷木版による鳥観図《函館真景》など、多くの資料から「はこだて」の歩みをたどってゆく。
第二章では、日本における写真発祥の地のひとつ「はこだて」の写真を、制作の側面から多角的に紹介。ロシア人から写真技術を習得した田本研造をはじめ、函館にまつわる写真家を取り上げるとともに、カメラや三脚、原板といった撮影機材などの史料を交えつつ、現代とは大きく異なる幕末・明治期の写真技術を紹介する。
第三章では、幕末から明治へと移り変わる「はこだて」の町並みを、初公開のパノラマ写真を含む初期写真のオリジナルプリントによって展観。函館のパノラマ写真のうち最古のものとされる1869年の写真や、初公開となる野口源之助《Esso Album》ほか多くのパノラマ写真を展示するなど、近代化のなかで変わっていった街並みやそこに生きた人びとを、ミクロとマクロの両面から捉えた写真を紹介する。
展覧会「写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて」
会期:2022年3月2日(水)〜5月8日(日)
会場:東京都写真美術館 3階展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間:10:00〜18:00(木・金曜日は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(3月21日(月・祝)、5月2日(月)は開館)、3月22日(火)
観覧料:一般 700円、大学・専門学校生 560円、中高生・65歳以上 350円
※小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害者手帳の所持者とその介護者(2名まで)は無料
※オンラインによる日時指定予約が可能
※内容は変更となる場合あり(最新情報は美術館ホームページを確認のこと)
【問い合わせ先】
東京都写真美術館
TEL:03-3280-0099