企画展「大竹伸朗展」が、東京国立近代美術館にて、2022年11月1日(火)から2023年2月5日(日)まで開催される。その後、愛媛県美術館、富山県美術館にも巡回する。
現代日本を代表するアーティスト大竹伸朗は、1955年に生まれ、1980年代初頭にデビューして以来、絵画、版画、素描、彫刻、映像、絵本、音、エッセイ、インスタレーション、そして巨大な建造物に至るまで、多岐にわたるジャンルの作品を手がけてきた。近年では、現代美術の二大国際展であるドクメンタ(2012年)とヴェネチア・ビエンナーレ(2013年)にも参加するなど、国外でも高い評価を獲得している。
「大竹伸朗展」は、16年ぶりとなる大竹伸朗の大規模な回顧展。最初期の作品から国際展への出品作、そして最新作まで約500点の作品を一堂に集め、これらを制作年の時系列ではなく、緩やかにつながる7つのテーマのもとで展示する。
本展では、小さな手製本から巨大な小屋型のインスタレーション、音を発する作品まで、大竹の作品を一挙に紹介。なかでも、2019年より大竹が取り組んでいる「残景」シリーズの最新作《残景 0》を初公開するとともに、ライフワークとしてほぼ毎日制作しているスクラップブック全71冊を一挙公開、さらにドクメンタ出品作である、ものと音が凝縮された小屋型のインスタレーション《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》を関東で公開する初の機会となる。
約500点の作品紹介の軸となるのが、「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」という、緩やかにつながる7つのテーマだ。たとえば「自/他」。大竹にとって作品制作とは、自ら「既にそこにあるもの」と呼ぶ他者との共同作業にほかならなかった。会場では、自画像、そしてこれまで大竹を形成してきた人物や風景などのイメージに光をあて、9歳の頃の作品から近作《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》までを展観する。
こうした「自/他」の共同作業において、揺らぎつつ変容する自己に同一性を与えるのが「記憶」だ。大竹の作品制作の基礎に「物質の寄せ集めと切り貼り」があるように、あらゆるものを貼り付け、作品に留めてゆくその制作手法は、それ自体が忘却に抗う記憶術だと捉えることができる。本セクションでは、「時憶」や「憶景」、「憶片」など、大竹の記憶に対する関心を見てとれるシリーズを中心に展示する。
さらに、本展の会期中には、東京国立近代美術館のテラスで《宇和島駅》を展示。大竹は、愛媛の宇和島駅舎のリニューアルにともない駅名の古いネオンサインをもらい受け、個展開催の際に作品として設置してきた。今回の回顧展でも、ネオンが輝く姿を目にすることができる。
企画展「大竹伸朗展」
会期:2022年11月1日(火)〜2023年2月5日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー、2F ギャラリー4
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間:10:00〜17:00(金・土曜日は20:00まで)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(1月2日(月・振替休日)、1月9日(月・祝)は開館)、年末年始(12月28日(水)〜1月1日(日・祝))、1月10日(火)
観覧料:一般 1,500円、大学生 1,000円
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳の所持者とその付添者(1名)は無料
※本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」も観覧可
■巡回情報
・愛媛県美術館
会期:2023年5月3日(水・祝)~7月2日(日)
住所:愛媛県松山市堀之内
・富山県美術館
会期:2023年8月5日(土)〜9月18日(月・祝)
住所:富山県富山市木場町3-20
【問い合わせ先(東京会場)】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル 9:00~20:00)