展覧会「日本の中のマネ ─出会い、120年のイメージ─」が、東京の練馬区立美術館にて、2022年9月4日(日)から11月3日(木・祝)まで開催される。
「日本の中のマネ ─出会い、120年のイメージ─」は、19世紀フランスを代表する画家エドゥアール・マネの日本における受容について考察する展覧会だ。
日本の美術界におけるマネの影響は、明治期の洋画黎明期から見ることができる。たとえば画家・美術批評家の石井柏亭は、1904年(明治37)、マネの代表作《草上の昼食》を着想源とした作品《草上の小憩》を発表した。また、石井や木下杢太郎は、マネを理解することが西洋近代絵画を受容するうえで不可欠であるとも主張している。
本展では、明治期から昭和初期にかけての作品や批評を通して、日本の「マネとの出会い」を振り返るとともに、日本におけるマネの理解が現代に至るまでどのように変化してきたのかにも着目。マネの作品7点を中心に、印象派作品や日本の近代洋画、そして森村泰昌や福田美蘭の作品を展示し、日本におけるマネのイメージの変遷を探ってゆく。
マネは、写実主義と印象主義の中間に位置するような画家であった。近代の都市生活を「ありのままに」描きだしたものの、自ら写実主義を標榜することはなく、またモネやルノワールといった印象派の画家と親交を結びつつも、いわゆる「印象派展」に出品することもなかった。第1章では、写実主義の画家クールベから印象派までの作品をたどりつつ、マネを「モダニズムの画家」として捉える理解を前進させ、西洋近代美術史における位置付けを再考する。
第2章では、日本に所在するマネ作品を展示。日本には、パステル画を含めてマネの油彩画が17点所在する。本展では、そのうちの7点を集めて紹介。なかでも、晩年の名品として知られる《散歩(ガンビー夫人)》は、日本におけるマネ作品のなかでも、女性の肖像画と都会人の生活情景を描いた風俗画という二面性を有する点で珍しい作品である。また、マネが数多く取り組んだ版画作品も目にすることができる。
日本で最初に現れたマネへのオマージュは、1904年に描かれたた石井柏亭の《草上の小憩》であった。また、安井曾太郎などの作品にも、マネの影響を見てとることができる。一方、初めてマネが言及されるのは森鷗外による著述においてであり、エミール・ゾラとマネの美術批評について論じる文脈の中でその名が登場している。第3章では、明治期から昭和初期にかけての絵画と批評を通して、日本におけるマネ受容に光をあてる。
第4章では、現代日本におけるマネのイメージに着目。美術家の森村泰昌や福田美蘭の作品から、それぞれの視点から展開されるマネ解釈を紹介する。とりわけ、本展で発表される福田の新作からは、彼女の近年のマネ解釈にふれることができるだろう。
展覧会「日本の中のマネ ─出会い、120年のイメージ─」
会期:2022年9月4日(日)〜11月3日(木・祝) 会期中一部展示替えあり
会場:練馬区立美術館
住所:東京都練馬区貫井1-36-16
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)
観覧料:一般 1,000円、高校生・大学生・65〜74歳 800円、中学生以下・75 歳以上 無料
※障害者手帳の提示者(介添者1名まで)は、一般 500円、 高校生・大学生 400円
※一般以外(無料・割引対象者)は、年齢などを確認できるものを持参
※最新情報については美術館ホームページを確認のこと
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【問い合わせ先】
練馬区立美術館
TEL:03-3577-1821