展覧会「つながる琳派スピリット 神坂雪佳」が、東京のパナソニック汐留美術館にて、2022年10月29日(土)から12月18日(日)まで開催される。富山県水墨美術館などでも開催された巡回展だ。
神坂雪佳(かみさか せっか)は、明治期から昭和期にかけて、京都を中心に活躍した図案家・画家だ。20世紀初頭、ヨーロッパで当時最先端の美術工芸にふれた雪佳は、そこで日本の伝統的な装飾芸術の魅力を再認識。琳派の表現方法に基づきつつ、暮らしの空間全体を彩るデザインを提供するという視点から、図案や工芸、絵画など、多岐にわたる活動を展開した。
展覧会「つながる琳派スピリット 神坂雪佳」は、日本の古典と近代的な発想を融合させ、美術と意匠という2つの分野を行き来した「近代琳派」神坂雪佳の世界を紹介。雪佳の代表的な作品を中心に、本阿弥光悦や尾形光琳など琳派の名品もあわせて、絵画・図案集・工芸品など約80点を4章構成で展示する。
第1章では、雪佳に影響を与えた琳派の芸術を紹介。平安王朝の雅やかさに憧れ、その復興を目指した琳派は、その歴史を江戸初期にまで遡り、幕末、そして近現代まで続いた。琳派の特徴は、画面の余白を活かしたデザイン性の高い作風にあり、雪佳ばかりでなく近代の日本画家に大きな影響を与えた。会場では、戯れあう仔犬を水墨のみで描いた俵屋宗達《双犬図》や、雪佳旧蔵の深江芦舟《立葵図》などの作品を通して、江戸期に興った琳派の展開をたどってゆく。
1866年に生まれ、1881年、四条派の日本画家・鈴木瑞彦(すずき ずいげん)に師事した雪佳は、20代半ばの時に帝室技芸員の岸光景(きし こうけい)のもとで工芸図案を学び、30代の頃には図案家として重要な役割を担うようになる。その活動の前半期に数多く手がけたが、図案集だ。第2章では、色彩豊かで明快な雪佳様式の到達点を示す『百々世草』 をはじめ、雪佳が発表した図案集を紹介する。
図案の創作にあたって雪佳が参照したのが、琳派の芸術であった。優れたデザインでもって空間を彩る調度品を生みだした琳派を手本に、雪佳は染織や漆器、陶磁器から、室内装飾や造園に至るまで、さまざまデザインを手がけている。第3章では、《帰農之図蒔絵巻煙草箱》や《菊花透し彫鉢》など、雪佳が絵付に携わった調度品や漆芸、陶芸を中心に目にすることができる。
図案家として活躍する一方、雪佳は絵を求められる機会も多かった。とりわけ活動の後半期には、屏風や掛軸から、社寺の襖絵や能舞台の鏡板といった障壁画まで、さまざまな形態のもとで作品を手がけた。第4章では、《杜若図屏風》や《金魚玉図》など、四季の草花、古典文学、あるいは動物などをモチーフに、ユニークな造形感覚と親しみやすい画風で描かれた雪佳の絵画作品を紹介する。
展覧会「つながる琳派スピリット 神坂雪佳」
会期:2022年10月29日(土)~12月18日(日) 会期中に一部展示替えあり
[前期 10月29日(土)~11月29日(火) / 後期 12月1日(木)~12月18日(日)]
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル 4F
開館時間:10:00〜18:00
※11月4日(金)、12月2日(金)は20:00まで
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:水曜日(11月23日(水・祝)は開館)
入館料:一般 1,000円、65歳以上 900円、大学生 700円、中学・高校生 500円、小学生以下 無料
※障がい者手帳の提示者および付添者1名までは入館無料
※画像写真の無断転載を禁ずる。
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)