育児放棄の母親の下、過酷な環境で過ごしている少年ヤジッドにとって唯一の楽しみは、フォスターファミリー(里親)の家で、団欒しながら食べる手作りのスイーツ。いつしか自らが最高のパティシエになることを夢みるようになっていた。やがて、児童養護施設で暮らしはじめたヤジッドは、敷居の高いパリの高級レストランに、機転を効かせた作戦で、見習いとして雇ってもらうチャンスを10代で掴み取る。毎日180キロ離れた田舎町エペルネからパリへ長距離通勤し、時に野宿をしながらも必死に学び続け、活躍の場を広げていく。偉大なパティシエたちに従事し、厳しくも愛のある先輩や心を許せる親友に囲まれ、夢に向かって充実した日々を過ごすヤジッド。ところがそんな彼に嫉妬する同僚の策略で、突然仕事を失うことに。失意のどん底から持ち前の情熱でパティスリー世界選手権への切符をようやく手に入れるが…。
映画『パリ・ブレスト ~夢をかなえたスイーツ~』は、22歳でパティスリーの世界選手権でチャンピオンに輝き、彗星の如くスイーツ界に登場した若き天才パティシエ ヤジッド・イシェムラエンの自伝書『スターを夢見た幼少時代:パティシエが彼を救った理由(Un reve d'enfant etoile: Ccomment la patisserie lui a sauve)』をベースに映画化した作品。主演は、TikTokで6600万人のフォロワーを持ち、映像クリエイターとして人気を集めるリアド・ベライシェ。劇中に登場するデザートの監修は、ヤジッド・イシェムラエン本人が務めた。