特別展「明治美術狂想曲」が、東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)にて、2023年4月8日(土)から6月4日(日)まで開催される。
特別展「明治美術狂想曲」 は、現在の「美術」に繋がる制度や文化が育まれた明治時代に着目し、静嘉堂のコレクションを紹介する展覧会だ。
江戸幕府が倒れ、西洋文明が流入した明治時代の日本では、政治体制が改革され、西洋の建築や装いがもたらされるなど、社会・文化ともに大きな変貌を遂げた。「美術」という言葉が生まれたのも、この時代のことである。博覧会や美術館など、制度面が整えられるとともに、西洋からもたらされた油彩画が普及し、技巧を尽くした工芸品が欧米へと輸出されることになった。このように西洋化が進む一方、古美術品の再評価や保護、日本美術史の編纂もまた行われたのだった。
明治時代の絵画には、古い時代の余韻と新しい時代の曙光とが共存している。たとえば、初公開となる落合芳幾《末広五十三次 程ヶ谷》には、西洋人の姿が現れ、幕末の世相を垣間見ることができる。また、河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》には、当時登場して間もない列車を題材とした場面が描かれている。このように、当時の日本画には、浮世絵といった従来の技法を用いつつ、この時代ならではの目新しいモチーフが取り上げられているのだ。
明治時代には、欧米でのジャポニスムの流行と日本における殖産興業を背景に、欧米人に好まれるデザインの工芸品が制作、輸出された。精緻を極めたその技術は、近年では「超絶技巧」として再評価されており、その例を鈴木長吉による《鷹置物》や、渡辺省亭が原画を手がけた濤川惣助の《七宝四季花卉図瓶》などに見ることができる。
静嘉堂を創設した三菱第2代社長・岩﨑彌之助(いわさき やのすけ)は、明治28年(1895年)の第4回内国勧業博覧会に出品された作品などを収集するなど、明治美術との接点を持っている。橋本雅邦《龍虎図屛風》(重要文化財)や今尾景年《耶馬渓図屏風》といった屏風絵は、第4回内国勧業博覧会に際して、当時を代表する日本画家に制作を依頼したものであった。また、「裸体画論争」を巻き起こした作品のひとつ、明治34年に発表された黒田清輝の《裸体婦人像》は、のちに岩﨑家の高輪邸撞球室に飾られている。
特別展「明治美術狂想曲」
会期:2023年4月8日(土)〜6月4日(日)
[前期 4月8日(土)〜5月7日(日) / 後期 5月10日(日)〜6月4日(日)]
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館 1F
開館時間:10:00〜17:00(金曜日は18:00まで)
※入館はいずれも閉館30分前まで
入館料:一般 1,500円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
※日時指定優先(当日券あり)
※障がい者手帳の提示者は700円(同伴者1名は無料)
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)