映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』で、メインキャストを務める山下智久と新木優子にインタビュー。
漫画に心血を注ぐ中で次第に視力を失っていく病を患う漫画家と、その漫画のファンで彼を支える、生まれつき耳が聞こえない女性が出会い恋に落ちていく、切なくも心温まるラブストーリーを描いた映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』。互いを想い合う2人が同居を始め、周囲の理解を得ながら成長していく様を映し出している。
そんな本作で恋人役を演じる、山下智久×新木優子の豪華ペアにインタビューを実施。5年ぶりの再共演となる2人が、恋人役を初めて演じることでも注目を集めている。インタビューの中では、今までの作品にはない役作りへの挑戦から、現場での再会を果たした2人の関係性までじっくりと話を伺った。
お2人が恋人同士を演じるのは本作で初めてとなりますが、通常の恋愛作品とは異なり、それぞれが異なるハンディキャップを抱えているという難しい役柄であったと思います。どんな役作りを行いましたか?
山下:実際に目の見えない方とお会いする機会を設けていただいて、インタビューさせてもらいました。 最初から見えない先天的な方も、途中から見えなくなった方もいらっしゃるんですけど、どちらの意見も聞きました。あとは自分で目隠しして、家の中で生活してみたり。そういうことを積み重ねて、監督と一緒にディスカッションしながら役を作り上げていきました。
新木:私は作品に入る4ヶ月くらい前から、耳の不自由な方と手話の練習を始めました。その練習の中で、実際に何が大変なのか、どういうことが違って感じるのかを伺って役作りに活かしました。あとは耳が聞こえない感覚を掴むために、お風呂の中に潜って、音のない世界を自分で作ってみました。音って耳を塞いでも感じ取ることができるので、全く聞こえない状況を体験するのが難しくて…たどり着いたのが“お風呂の中に潜る”でした。
山下:新木さんは昔から努力家だなと感じていたけれど、今回の役作りに関してはより磨きがかかっていたよね。すごく多忙なスケジュールの合間を縫って、まっすぐ役作りに取り組んでいて、密かにリスペクトしていました。
入念な役作りを経て、撮影に臨んだのですね。実際に現場に入ってから、演じていく中で気付いたことはありますか?
新木:ハンディを持っている役柄だからといって、感情面は何も他の演技と変わらないということです。ふっと湧き出る感情や、揺さぶられる想いって、決して限られた人たちが経験するものではない。嬉しい時に笑って、悲しいときに涙が出るっていう“ハート”の部分は皆同じじゃないですか。
なので現場では、演技的な面を固めすぎることは一旦やめようと。監督の指示と山下さんと作り上げる雰囲気に委ねて、そこで自然と生まれる感情を演技に落とし込むことを意識していました。
映画の中では、お2人の“ハグシーン”がたくさんあったことも印象的でした!
山下:きっと他の恋愛映画だったらトゥーマッチなくらいなのかもしれないですけど、ハンディを持つ2人が何かを通じ合うためには、とても大切なシーンだったと感じています。“2人なら、きっとそうだよね”っていう自然な流れ。
新木:この2人だからこそ生まれた、特別なコミュニケーションですよね。監督はそういった想像力を働かせることに非常に長けた方で、ハグ以外にも2人ならではのコミュニケーションシーンが色々あるんです。私が演じてても“キュン!”としてしまうくらい。
山下:監督は、あらゆるシーンにおいて、細部の世界観まで本当に作り込んでいるんですよ。でもそこを丁寧に描くからこそ、初めてリアリティが生まれるという妥協のない姿勢に感銘を受けました。ちなみに監督の中では、“監督史上最もロマンチックな映画”なのだそうです(笑)。
ご自身が演じたキャラクターが恋をした瞬間はいつだと思いますか?
山下:2人が出会った頃の真治は、心にぽっかり穴が空いてる状況だったと思うんです。目が見えない恐怖と絶望の中で、助けてくれる女の子が現れた…あの瞬間恋が始まったっていうか、穴にハマるものがあったのかなってね。本当に絶望の底にいる時の優しさって、より染みるから。
新木:同感です。そして響は真治に対して、一目惚れだったと思うんですよね。彼女自身、彼の漫画に救われてきて、元々「好き」から始まってるところに、この甘いビジュアルで。そりゃ好きになるよねって監督と話していました(笑)。
2人の恋愛模様を描いていく中で、ご自身の変化も感じられました?
新木:誰かを思うことって、自分が持っている以上の力を発揮しないと伝わらなかったりとか、感じとってもらえなかったりするんだなっていうのを、私自身も響と一緒に学びました。彼女自身も寂しかった穴が埋まって、率先して相手に尽くせるようになったんじゃないかな。
山下:響は真治が持っている魂のようなコアに語りかけて、いい意味で不要なヴェールを取り払ってくれるような、そんな力を持ち合わせていましたもんね。僕はそんな響のセリフから「真のあなたらしさを大切にしなさい」といったような、メッセージを受け取った気がしています。
ちなみに…新木さんは、響のように好きな人に尽くすことってできますか?
新木:たぶん響は雷に打たれたような感覚で恋に落ちたと思うんですけど…それだけ好きな人があれだけ絶望している状況で、きっと自分がいないと生きていけないだろうなっていう状況に出くわしたら、私も彼女と同じことをすると思いますね。初恋も自分から手紙とか書いて渡したり、積極的に相手に思いを伝えてた記憶があります…!
劇中でもストーリーを左右するトピックですが、お2人だったら自分のやりたいことや夢と現実的な生活、どちらを優先します…?
新木:現実的な生活も大切だと思うけど、やっぱり夢とか自分のやりたいことを優先しなかったら、後々後悔しちゃうんじゃないかな。後悔がないようにしたいと考えると、可能性があるなら夢を選ぶと思います。その方が心が豊かになるかなって。
山下さん:僕も本心はね、自分の夢を追いたいなと思うんですけど、やっぱり現実を見てしまうかもしれない。例えば家族のように、守らなければいけない人がいるとか、そういう状況だったら、僕は現実を優先してしまうと思うんです。
とはいえ僕は今、恵まれた環境にいるので、自分の夢に情熱を持ってしっかり挑戦できています。周りにいる人ももちろん、応援してくださっているファンの方にもすごく背中を押してもらってますね。いつも励ましてもらってるし、“1人じゃないんだ”って感じられる瞬間があって、助けられてるなと思います。