企画展示「歴博色尽くし」が、千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館にて、2024年3月12日(火)から5月6日(月・振)まで開催される。
企画展示「歴博色尽くし」は、「色」をテーマに、国立歴史民俗博物館の館蔵資料を紹介する展覧会だ。「色」という言葉を大きく捉え、色彩にとどまらず、素材の質感や微細な構造が生みだすテクスチャー、そしてそれらの組み合わせによって作られる形に着目しつつ、装身具、染織工芸、浮世絵版画、漆工芸などを展示する。
たとえば、古墳時代の装身具。この時代、王やエリートの姿を飾ったのが、勾玉(まがたま)や管玉(くだたま)といった玉類である。その素材は、碧玉、瑪瑙、水晶、琥珀、ガラスと、多岐にわたる。当初、青色や緑色が中心であったこれらの玉類には、次第に無色透明、赤色、黄色などの色が加わってゆくことになる。会場では、さまざまな色と形で作られた、当時の装身具の数々を目にすることができる。
また、染織工芸の色や模様にも着目し、江戸時代から明治時代にかけて、着物発注の場で使用されていた色見本も紹介。色見本には、男性用と女性用とで違いがある。男性用では、純粋に色の見本であるのに対して、女性用では、色と模様を合わせた、総合的な意匠の見本となっているのだ。会場では、実際の資料を通して、色とともに当時の男女間の相違に光をあてる。
絵画では、「赤絵」と呼ばれた2種類の浮世絵版画、「疱瘡絵(ほうそうえ)」と「開化絵」を紹介。これらはいずれも赤色を用いているものの、その理由や意味は異なる。疱瘡絵は、疱瘡(天然痘)にかかった子供の見舞いに用いられたものであり、赤色は魔除けや厄除けの意味を持つ。一方、明治維新を経て変貌する東京の風景や風俗を描いた開化絵のなかには、鮮やかな赤色を多用するために「赤絵」と呼ばれるものがある。ここで赤色は、開化の祝祭的な雰囲気を伝えているといえよう。
さらに、漆工芸における色彩も紹介。漆工芸には、微妙な色合いを生みだす装飾技法が存在している。たとえば、漆で文様を描き、金や銀の金属粉を蒔き付ける「蒔絵」や、貝殻の輝く真珠層を用いて装飾する「螺鈿」だ。本展では、限られた素材の組み合わせから繊細な色合いを生みだす工夫を取り上げる。
企画展示「歴博色尽くし」
会期:2024年3月12日(火)〜5月6日(月・振) 会期中に展示替えあり
[前期 3月12日(火)〜4月7日(日) / 後期 4月9日(火)〜5月6日(月・振)]
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A
住所:千葉県佐倉市城内町117
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(4月29日(月・祝)は開館)
観覧料:一般 1,000円、大学生 500円、高校生以下 無料
※総合展示もあわせて観覧可
※障がい者手帳など提示者および介助者は入館無料
※半券の提示で、当日にかぎりくらしの植物苑に入場可
※植物苑の半券の提示で、当日にかぎり博物館の入館料が割引
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)