展覧会「ちくごist 尾花成春」が、福岡の久留米市美術館にて、2024年4月20日(土)から7月7日(日)まで開催される。
尾花成春(おばな しげはる)は、戦後福岡の前衛美術集団「九州派」での活動や、15年以上にわたって描き続けられた筑後川の絵画で知られる、福岡ゆかりの洋画家だ。ポール・セザンヌに影響を受けた理知的な画面構成、物質性を強調した絵肌など、尾花は絵画の可能性を追い求めて活動を展開した。
展覧会「ちくごist 尾花成春」は、郷里・福岡で制作を続けた尾花の画業を紹介する、初の展覧会。久留米や筑後ゆかりの作家を紹介する「ちくごist」シリーズの第1弾となる本展では、約100点の作品や資料を通して、その歩みを展観する。
1926年福岡南東部に生まれた尾花は、戦後、前衛美術集団「九州派」に参加。砂や廃材などを混ぜ込んで、生々しい物質性を強調した作品を手がけている。この時、尾花が繰り返し描いたのが、幼少期より目にしてきた筑後平野であった。会場では、尾花にとって原風景である、菜の花畑が一面に広がった光景を描いた《黄色い風景》などを展示する。
尾花は、オブジェやインスタレーションへと表現の幅を広げ、一時的に絵画からは離れるものの、1972年からは再び本格的に絵画を手がけるようになる。こうして15年以上にわたって描かれることになったのが、故郷の筑後川だ。本展では、《─筑後川より─朝羽大橋(上側)》や《筑後川三部作(天地水)》など、筑後川を題材とした作品を目にすることができる。
筑後川を描いた作品ののち、尾花は新たな画題として海に目を向けた。会場では、尾花自身が「筑後の色」だと語る黒で描いた海を背景に、2つの石が浮かぶ「存在の意」シリーズに加えて、音楽などをテーマとした作品も紹介する。
尾花はやがて、目に見えるものの奥にあるものを追求しようと、具象的なモチーフは描かず絵具をひたすら塗り込める作品を手がけることになる。さらに、晩年には、渓谷に眠る埋もれ木や、ひそやかに散る庭先の花などを題材に、静謐な作品を残した。本展では、《渓谷にて想うこと(大分県前津江)》や《花に語る》をはじめ、尾花が2016年に亡くなるまでに描いた作品にふれることができる。
展覧会「ちくごist 尾花成春」
会期:2024年4月20日(土)〜7月7日(日)
会場:久留米市美術館
住所:福岡県久留米市野中町1015(石橋文化センター内)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館)
入館料:一般 700円(500円)、65歳以上 400円(200円)、大学生 400円(200円)、高校生以下 無料
※( )内は15名以上の団体料金
※石橋正二郎記念館も観覧可
※障害者手帳等の所持者および介護者1名は無料
【問い合わせ先】
久留米市美術館
TEL:0942-39-1131