監督・脚本を務める荻上直子といえば、映画『かもめ食堂』や『彼らが本気で編むときは、』など数々のオリジナル脚本で話題作を送り出してきた。『彼らが本気で編むときは、』では第67回ベルリン国際映画祭・観客賞&審査員特別賞を受賞し、『波紋』では第33回日本映画批評家大賞・監督賞に輝いている。
荻上は「プロデューサーから『誰に興味があって、誰と一緒に映画を作りたいか』と聞かれるたび、堂本さんのお名前を常々挙げていました」と語るほど以前から堂本とのタッグを希望していた。過去、荻上が悩んでいた時期に「たまたまテレビに出ている堂本さんを拝見して、『あれ……私よりもっとツラそうな人がいる』と、すごく興味がわいてしまった」のをきっかけに、約2年前からのオファーを経てタッグが実現したという。荻上は脚本の作成にあたり、堂本の過去のインタビューからヒントを探し始め、“自分が分からなくなってしまう人”を物語の根幹に置いたそうだ。
主⼈公・沢⽥は堂本のあて書きだったこともあり、堂本と荻上監督は毎シーン本番でカメラを回す前に必ずしっかりと話す時間を取ってから撮影に臨んでいたという。また、堂本は映画終盤に沢⽥の感情が溢れ出すシーンが「特に難しかった」とし、「実際、気持ちの持っていき⽅が⼤変ではあったんですけど、監督やプロデューサーさんをはじめ制作チームのみなさんがすごく親⾝になって、思いを伝えてくださったので、⾃分ができうる限り、全霊でお応えしようという思いで挑んでいったという感じでしたね」と撮影を振り返っている。
主題歌は、2002年に「堂本剛」のソロ名義で発表した「街」を本作のために再レコーディングした「街(movie ver.)」。自身がつらかった時期に作詞・作曲を手掛けたという「街」は、“⾃分を⽣きることこそ素晴らしい”という、まるで主人公の澤田が歌っていると錯覚するかのようなメッセージが込められている。
また堂本は、クリエイティブプロジェクト「.ENDRECHERI./堂本剛」のダブルネームで、本作で初となる映画音楽にも挑戦する。
⼈気現代美術家のアシスタントとして働くも、虚無な日々を過ごす男・沢⽥は、ある⽇通勤途中に事故に遭い、腕の怪我が原因で職を失う。部屋に帰ると床には蟻が1匹。その蟻に導かれるように描いた◯(まる)が知らぬ間にSNSで拡散され、正体不明のアーティスト「さわだ」として⼀躍有名になる。突然、誰もが知る存在となった「さわだ」だったが、段々と◯にとらわれ始めていく…。
【作品詳細】
映画『まる』
公開日:2024年10月18日(金)
出演:堂本剛、綾野剛、吉岡⾥帆、森崎ウィン、⼾塚純貴、おいでやす⼩⽥、濱⽥マリ、柄本明、早⼄⼥太⼀、⽚桐はいり、吉⽥鋼太郎、⼩林聡美
監督・脚本:荻上直⼦
⾳楽:.ENDRECHERI./堂本剛
■公式本「映画『まる』ビジュアルブック」/集英社
発売日:2024年10月18日(金)
価格:2,860円