映画『言えない秘密』で主人公・湊人を演じた京本大我と、ヒロイン・雪乃を演じた古川琴音にインタビュー。映画は2024年6月28日(金)に公開される。
映画『言えない秘密』は、ジェイ・チョウが監督・主演を務めた台湾映画『言えない秘密』を原案とする作品。日本版『言えない秘密』として、伝統ある音楽大学を舞台に運命的な出会いを果たした音大生2人の淡く切ないラブストーリーを描く。監督は、『映画鈴木先生』『俺物語!!』『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』などを手掛けてきた河合勇人が務める。
『言えない秘密』のタイトルにちなんで、恋人同士で秘密や隠し事はあるべきだと思いますか?
京本:秘密はあってもいいかなと思います。相手との距離感や性格によって変わると思うので難しい問題だとは思いますが、貫けるのであれば。秘密に大小はあると思うのですが、悪い変な意味ではなく、恋人にここは言っても分かって貰えないとか、相手の性格もありますから。色々な要素を鑑みて言う秘密・言わない秘密を決めればいいんじゃないかな。
古川:秘密にも「大きい」「小さい」があると思いますが、大きな秘密を共有できてたら素晴らしい関係ですよね。ただ、小さいものは恋人間だけではなく、いろんな人間関係において絶対あるものだと思います。知らなくても良い事もあるはず。逆に秘密がない状態の方が難しいんじゃないかな…。
その考えは昔からあったのでしょうか?それともきっかけがあって考えが変わったとか?
京本:うーん、若い頃は「恋人に隠し事なんて嫌だ」「なんでも知りたい」とかあったかもしれない…。でも、踏み込める領域が大人になって定まってきた気がします。そう思うと昔とは考え方が変わりましたね。相手があえて言わずにいることについても、こちらから別に無理に聞こうとも今は思わなくなったし。それで2人とも共通認識を持てているならそれで良いと思います。
古川:私も何かきっかけがあったわけじゃなくて、多分今までの人間関係での積み重ねでなんとなくそういう風に思ったのかな。
劇中では湊人と雪乃の純愛、そして三角関係も描かれています。おふたりの理想の恋愛、憧れのシチュエーションはありますか?
古川:運命を感じた時の“ビビビッ”っていうのを感じてみたい(笑)。
京本:あああ~、わかる。
古川:出会った瞬間に結婚すると思った、この人だと思った、みたいな。実際に私の友達にもいて、お相手が私の友達を見た時に、この人だと思ったらしく初対面なのに結婚してくださいって言ったらしいんです。
京本:うまくいったんだ、へえーーーーー素敵だね!
古川:本当にそんなことあるんだと思ってびっくりしました。でも友達は相手に対して何も感じてなかったそう。
京本:お互い感じたわけではないんだ。でも僕も全く一緒で、“ビビビッ”ってやつを感じたいがためにわざと“ビビビッ”が来るときがある(笑)。
古川:求めすぎてるんだ(笑)。
京本:そう、素敵だなって人に“ビビビ”が来た感じがするんだけど、「これって今俺が作った“ビビビ”か…?」とか、分からない時があります。意識せずに感じたいのに。
古川:あとは、なんでこの人に?っていう相手に運命を感じてみたいかも。自分のタイプじゃないのになんで気になるんだろうみたいなのは、ロマンティックですよね。
京本:うん、意外性あるけど「この人だ!」みたいなロマンティックで運命的な出会いがいいな。
劇中の湊人と雪乃はもう出会った瞬間にお互い惹かれ合っていたように思いますが、湊人と雪乃の関係性に憧れはありますか?
京本:めちゃくちゃ純愛ですもんね。
古川:そういう風な関係性だとすごく幸せですよね。
京本:いい意味で湊人と雪乃は浮かれてますもんね。2人だけの世界を楽しんでる感じ。
古川:やっぱり普通じゃいられないというか、ウキウキしちゃいますよね。そういう人に出会えてるという点については羨ましいなって思います。
おふたりとも“運命の出会い”を求めてるとのことで、“運命”つながりでここが自分のターニングポイントだったなと思う運命の瞬間はありますか?
古川:中学校で演劇部に入って、そこから高校、大学も演劇サークルだったのですが、今思えばそこがターニングポイントだったのかもしれないです。当時はまさかこの仕事をやるとは思っていなかったですし。
京本:僕は10年以上前に京都の三十三間堂に行った時かな。千手観音像がバーーッと並んでいる様の衝撃がすごくて。それがきっかけで御朱印を集め始めたので。そういう和の世界観に触れたことで、今お茶の勉強もしてるので、世界が広がったなと思ってます。
ちなみに今後また大きな衝撃を受けるような“運命の出会い”があったら、今後の活動において別の道も考えますか?
京本:ほかのことに興味を持ったとしても今の活動に還元できると思うので、基本辞めずに新しいことにも挑戦してそうです。この今の芸能活動って、大体両立できそうな気もしているので。
あとは個人的に、あまりゴールを決めずに活動しているので、急にやめる可能性ももちろん全然あるわけで…。自分の中の好奇心とか、自分が好きだと思えるものが燃え続けてる限りはこのまま続けてると思います。もちろんどうなるかは分からないですけども。
古川:どの道を選んでも幸せだなと思います。女優を続けられることもなかなか無いことですし。一方で、この女優を辞めてまで進みたい道ができたら、それはそれでいい人生になる気がするので。結論、私もその時になってみないと分からないです(笑)。
映画のキャッチフレーズの1つ、「この時間は、永遠だと思ってたーー。」にちなみ、永遠だと思うものはありますか?
京本:僕、基本的に永遠ってないなと思ってます。同じ形で残り続けるものはなくて、思いが次の世代に繋がっていくみたいな形で、ちょっとずつ形を変えながら繋がる、という意味での永遠ならあると思います。今だって60年代70年代の音楽やさらに昔のミュージカル、演劇だとかを愛してますし。でもそれはその時々でちょっとずつ姿が変わっていることもあるから、本当の永遠の保証はないですけどね。
あとは、2023年に『シェルブールの雨傘』というミュージカルに出演したのですが、オリジナルの監督・脚本を手掛けたジャック・ドゥミは既に亡くなっているんですね。そんな生みの親たちは、自分の作品が後の時代の人々にも長く愛されてるなんて想像していなかっただろうなと。僕らの知らない次の世代、もっと先まで愛されるようなものもあるかもしれないと思うと、奇跡だなと思いますね。
古川:私はすごくミニマムな話になって申し訳ないんですけど、うちの猫への愛情は永遠だと思います。自分の子ども同然なので、この子に対する私の愛は絶対に変わりません!
ずばりお互いの役の魅力を教えてください。
古川:湊人の魅力は、雪乃へのひたむきな愛や誠実さ。中でも一番感動したのが、雪乃に会いに来てくれるシーン。湊人の苦しんでいる姿を私は撮影中見たことがなかったので、スクリーンで初めて観た時に「こんなに雪乃のこと思ってくれてたんだ!」という嬉しさもありました。
京本:雪乃はすごく知的で、言葉では言い表しがたいんですけど…唯一無二のミステリアス感というか、神秘のベールに包まれてる感っていうか…いい意味で人間味がないんだけど、でも温かいものもちゃんと持っているところ。ピアノから逃げたがってる湊人をもう一度夢に向かわせてくれたのは、雪乃が完全に引っ張ってくれたからこそだし、雪乃の人柄そのものが好きです。