茨城県立歴史館では、開館50周年記念特別展「雪村—常陸に生まれし遊歴の画僧—」を、2025年2月15日(土)から4月6日(日)まで開催する。
雪村周継(せっそん しゅうけい)は、戦国時代を代表する水墨画家だ。現在の茨城県の一部にあたる常陸国に生まれたとされる雪村は、禅僧でありながら、絵を描く画僧として活躍。後半生には、小田原や鎌倉を訪れて画才を磨き、晩年には会津や三春を往来しつつ、傑作を数多く残した。
戦乱の世にあって、雪村は京都から離れた東国で活動し、自身の画風を切り拓いた。それは、雪舟のように中国に渡ることなく、画像として各地を遊歴することで培われたものであった。特別展「雪村—常陸に生まれし遊歴の画僧—」は、茨城で33年ぶりとなる雪村の展覧会。代表作《自画像》や常陸時代の名品《風濤図(ふうとうず)》など、雪村の作品ばかりでなく、雪村から影響を受けた絵師による作品を加えた、約110件を一堂に集めて紹介する。
雪村の特徴がもっとも示されるのが、大胆な筆致で描かれた人物画だ。こうした人物画では、風を受けて翻るドレープの文様や、奇怪さを伴う面貌表現によって、画面に躍動感がもたらされている。本展では、力強くダイナミックな《鐘馗図(しょうきず)》や、愛嬌のある顔つきで描かれた《欠伸布袋図・紅白梅図(あくびほていず・こうはくばいず)》など、雪村の真骨頂にふれることができる。
画僧であった雪村の作品には、禅僧の賛が付されたものが見受けられるように、雪村には京都や鎌倉の禅僧と繋がりがあったことを確認することができる。こうした禅僧との交流は、寺院に所蔵されていた古画を実際に目にし、自身の画才を磨くことにも役立ったであろう。会場では、禅僧としての画業に着目しつつ、雪村が晩年に描いた《自画像》や《渡唐天神図》などを紹介する。
雪村は、各地の戦国大名のもとで、中国・南宋時代の画家、牧谿(もっけい)や玉澗(ぎょくかん)の古典となる作品を学び、自身の画風を確立していったとされる。本展では、《四季山水図屏風(しきさんすいずびょうぶ)》や、最晩年の《瀟湘八景図屏風(しょうしょうはっけいずびょうぶ)》といった作品を通して、雪村の山水画における筆遣いの展開をたどってゆく。
開館50周年記念特別展「雪村—常陸に生まれし遊歴の画僧—」
会期:2025年2月15日(土)~4月6日(日)
[前期 2月15日(土)~2月9日(日) / 後期 3月11日(火)~4月6日(日)]
会場:茨城県立歴史館
住所:茨城県水戸市緑町2-1-15
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日に休館)
入館料:一般 690円(550円)、満70歳以上 350円(280円)
※( )内は20名以上の団体料金
※小学・中学・高校生および未就学児は無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、指定難病特定医療費受給者証の所持者および付添者1名は無料
※2月27日(木)は満70歳以上の入館無料
【問い合わせ先】
茨城県立歴史館
TEL:029-225-4425