映画『キングスマン』の続編となる『キングスマン:ゴールデン・サークル』が2018年1月5日(金)に公開される。一足早く公開されたアメリカを含む世界55カ国で初登場1位、また、故郷・イギリスでは前作の2倍以上のオープニング興収を記録し、大ヒット。
表の顔は、ロンドンの高級テーラー。しかしその実態は、どの国にも属さない世界最強のスパイ機関だった…!スマートなスーツに身を包んだ英国紳士がみせるキレ味鋭いアクションと、ギミック満載のスパイ道具の数々や、スピード感とウィットに富んだストーリーが世界を熱狂させ、興行収入4億ドルを超えるメガヒットを記録した映画『キングスマン』。
続編となる『キングスマン:ゴールデン・サークル』では、スパイ機関“キングスマン”の拠点が、謎の組織ゴールデン・サークルのボス:ポピーの攻撃により壊滅。残されたのは、前作で一流のエージェントに成長した主人公エグジー(タロン・エガートン)と、教官兼メカ担当のマーリン(マーク・ストロング)のみとなってしまう。
敵を追い、同盟を結ぶスパイ機関“ステイツマン”の協力を得るためアメリカに向かう二人。しかし、表ではバーボン・ウイスキーの蒸留所と最高級のバーボンを提供する店を経営しているステイツマンは、英国文化に強い影響を受けたキングスマンと対照的に、コテコテにアメリカンなチームだった…。彼らは文化の違いを乗り越えて、ポピーが企む陰謀を阻止することができるのか?
1作目に続き、再びメガホンを握るのは“映画ファンを裏切らない監督”として定評のあるマシュー・ヴォーン。
彼はこれまでクライムスリラー『レイヤー・ケーキ』、ファンタジーアドベンチャー『スターダスト』、アクションコメディ『キック・アス』、スーパーヒーロー作品『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』など、実に様々なジャンルの映画を手掛けてきた。
『キングスマン』は、自身も幼少の頃から大ファンだったというスパイ映画だ。今回はキャリア初となる続編の監督に挑戦。前作の世界観はそのままに、新世代スパイアクションがさらなる進化を遂げてスクリーンに帰ってくる。今回日本公開に先駆け、マシュー・ヴォーン監督にインタビューを実施し、続編の魅力や映画作りについて話を聞いた。
そもそも『キングスマン』の構想はどのように生まれたのでしょうか?
自分がちょうどテーラーでスーツを作ってもらっていた時に、退屈になってしまって「この下が実はスパイの本部だったらどうなんだろう」と想像したことがきっかけです。自分が幼少期に影響を受けた、伝統的なスパイ劇を現代的に表現する手法として、いいアイディアだと思いました。
『キングスマン』の英国紳士スタイルやユニークなスパイガジェットもそんな実体験から生まれたのでしょうか?
そうですね。テーラーから着想を受けて、スマートなスーツに身を包んだ英国紳士スタイルのスパイを考えていきました。また、幼少期に『007』シリーズのジェームズ・ボンドなどを見て育ったので、その影響もあると思います。
ガジェットはアフターシェイブローションや万年筆、ライター、オックスフォードシューズなど、英国紳士に不可欠なアイコニックアイテムを想像もしないような危険な武器にするという考えで生み出していきました。アフターシェイブローションは爆弾に、ライターは手榴弾に、万年筆は毒を噴射、オックスフォードシューズはつま先にナイフが仕込んであります。
続編では、米国スパイ組織“ステイツマン”を筆頭にアメリカの要素を取り入れましたね。ファッションやガジェットもアメリカらしいものが加わっていました。
続編で同じことをしたら、退屈で独創性に欠けると思ったので、トーンは同じですが新鮮さを感じさせるように心がけました。
1作目は英国らしさを全面に出した作風だったので、今回はこれまで自分が小さい頃から影響を受けてきたカウボーイ映画のオマージュとして、アメリカーナの要素を取り入れています。アメリカを拠点とするスパイ組織のステイツマンは、カウボーイファッションに身を包んでおり、スパイガジェットも新たに投げ縄や鞭型のものを生み出しました。
ステイツマンのカウボーイファッションについて詳しく教えてください。
ステイツマンのスタイルは典型的なアメリカらしさについて考え、質の良いデニムとカウボーイジャケット、ウエスタンハット、ブーツといったカウボーイスタイルを作り上げました。
ちなみに衣装は、同じデザインの服をファッション通販サイト「ミスターポーター(MR PORTER)」で販売しています。なので皆さんが着たい!と思うようなかっこいいもの、スタイリッシュなものを目指してデザインしていますし、そういう意識でかなり早い段階から衣装デザインを始めています。
また新しい要素として、麻薬王のポピーが新悪役として加わりましたね。
今回は女性の悪役にしたかったのです。一見物腰が柔らかく、レトロで楽しそうな人ですが、実はタフで冷徹な殺し屋という人物像を出したかった。
インスピレーションになっている人物はいるのでしょうか。
マーガレット・サッチャーとマーサ・スチュアートのミックスでしょうか(笑)。
ポピーというキャラクターはもちろん、彼女の拠点「ポピー・ランド」も劇中では印象的に描かれていました。
「ポピー・ランド」はアメリカのポップカルチャーを反映し、ラスベガスとディズニーランドを足して2で割ったような雰囲気をイメージして作りました。隠れ家兼テーマパークでもあり、美容室からボーリング場、コンサートホール、豪華なダイナーまで、アメリカ的なものを備えています。
ポピーはアメリカのポップ・カルチャーが好きなのに、麻薬王である故に母国へ帰れず寂しい思いをしている。「ポピー・ランド」にあるものはどれも、彼女が故郷にいたいと思う気持ちを満たすためのもの。