用意されたヘッドフォンを装着して、3つの円柱型オブジェの上の水に触る。すると、ヘッドフォンから音が流れ、次に水に触れていない人と手をつなぐと、触れていない人のヘッドフォンからも同じ音が聞こえてくる。これは、「人体通信」と名付けられた技術を取り入れたインスタレーション。体験者の身体がケーブルのような役割を果たし、水から生まれた音が体験者の身体を伝って、他の人の身体へと届けられていく。
「LINK OF LIFE 2017 まわれ右脳!展」の開催を記念して、オープン初日の2017年10月26日(木)、資生堂岩井副社長や企業文化部LINK OF LIFEチーフプロデューサー益井澄子、そして作品を手掛けたアーティストらが登壇し、トークイベントが行われた。
「LINK OF LIFE」の開催テーマについて話した益井澄子は、資生堂は“第2のスキンケア”としてアート活動に取り組んでいくことを伝え、五感の刺激は脳へと伝わり、その感情の動きが肌そのものをイキイキとさせるのでは?と肌と心のつながりについて話した。また、感性を刺激することで美しさを引き出す「感性美容理論」を「LINK OF LIFE」展を通して国内外問わず発信していきたいと今後の意気込みを語った。
続く、古屋遙、長谷川愛、清水陽子と3人の外部アーティストによるトークセッションでは、アートと美との関係性や資生堂との制作秘話などが話題に挙がった。
3人揃って資生堂研究員とのコラボレーションが興味深かったと評価。資生堂研究所を訪れたことや、毎日のようにスカイプミーティングが行われていたこと、すでに一緒に取り組みたいプロジェクトを話しているなど、制作中のエピソードを踏まえて、資生堂とのコラボレーションを振り返った。中でも“サメ体験”を提案した長谷川は、「際どいところを攻める私の作風を温かく迎えてくれた。」と話し、メンバーの優しさを改めて思い出す。
3人とも海外生活経験があることから、自分たちの作品の海外での評価が話題に上がると、長谷川は“女性的でアジア的な作品”と言われていると明かした。また、「モノと人、人と人との境界線が溶ける」をキーワードに作品制作した古屋は、日本人は満員電車など日常的に他人と触れる機会が多いため「感じないようにオフにしたり、開放的にしたりと、五感のコントロールが上手い」とコメント。
また、「アートは人を美しくするか?」という問いについては、3人口を揃えて、期待したいとプラスの意見で一致。中でも、8つの草花を使って香りのインスタレーションを制作した清水は「アートは美を活性化すると思う」と話し、アートなどを通して精神、身体ともに活性化することが美につながるのでは?と意見を述べた。
『LINK OF LIFE 2017 まわれ右脳!展』
会場:資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
会期:2017年10月26日(木)~11月10日(金)
開催時間:火曜~土曜日:11:00~19:00、日曜・祝日:11:00~18:00
休館日:毎週月曜日(祝日の月曜も休館)
料金:無料
参加アーティスト(順不同):長谷川愛(アーティスト)、古屋遙(演出家/クリエイティブディレクター)、清水陽子(アーティスト/研究者)、尾関弘子(資生堂/マーケッター)、稲場香織(資生堂/研究員)、タイエビ・パリマ(資生堂/商品開発担当)、加藤康男(資生堂/研究員)、宮永美帆(資生堂/研究員)、間中勇太(資生堂/研究員)
展覧会クリエイティブ ディレクター、デザイン・コーチ:藤原大