「~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~歌川国貞展」が、東京・静嘉堂文庫美術館で2018年1月20日(土)から3月25日(日)まで開催される。
江戸時代後期を代表する浮世絵師、歌川国貞は、美人画と役者絵の名手。本展では、静嘉堂文庫が所蔵する多数の錦絵の中から、8年ぶりに歌川国貞の名作の数々を展示する。描き出された江戸の女性達の生き生きとした様子やダイナミックな歌舞伎役者の舞台姿からは、当時の息遣いが感じられ、見ているだけで江戸時代にタイムスリップしたような感覚に。多色刷りが美しい錦絵の、鮮やかな色彩にも注目したい。
「北国五色墨(花魁)」の“北国”は吉原遊郭を示し、描かれている女性は花魁の中でも最高ランクの「呼び出し」に位する遊女。斑(ふ)入りのべっこうかんざしで髪を飾り、絢爛な刺繍の前帯や緋色の市松文様に金糸を施した打掛を身にまとっている様子からも、高い身分であることがうかがえる。急いで部屋に戻ったのか、上草履が片方だけ脱ぎ捨てられている点にも注目だ。5人の各階層の吉原の女性を描いた、5枚シリーズのうちの1枚だ。
年の暮の夕方に、雪の降る道を急ぐ3人の女性の姿を写し取った「歳暮の深雪」。3人の内2人は雪に備えた重装備で風や雪を凌いでいるのに対し、もう1人の女性は明らかに軽装。左手に提灯、右手に大徳利を持ち、傘もささずに雪道を小さく走る様から、酒を買いに行く途中であることが見て取れる。着物から見える紅色が、モノトーンの風景に映えている。年の瀬ならではの慌ただしさや、雪の冷たさを表現した3枚続きの錦絵となっている。
「仁木弾正左衛門直則 五代目松本幸四郎 秋野亭錦升 後 錦紅」は、全60図から成る役者大首絵の作品集の内の1図。描かれているのは、鼻高幸四郎の異名を持つ五代目松本幸四郎が演じた、歌舞伎「伽羅先代萩」に登場する仁木弾正だ。一点を見据える凛とした表情と、ボリュームのある衣服によって御家乗っ取りを企てる、この役ならではの凄味を表現した、シリーズ中屈指の名作となっている。
~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~歌川国貞展
会期:2018年1月20日(土)~3月25日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし、 2月12日は開館)、 2月13日(火)
会場:静嘉堂文庫美術館
住所:東京都世田谷区岡本2-23-1
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
入館料:一般1,000円、大高生700円(20名以上団体割引)、中学生以下無料
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)/英語版ハローダイヤル案内 03-5777-8686
※会期中、一部作品の展示替えを実施。
前期:2018年1月20日(土)~2月25日(日) 後期:2月27日(火)~3月25日(日)
■関連イベント例
・講演会「私と国定」(仮題) ※定員120名
日時:2018年3月10日(土) 13:15開場 13:30開始
登壇者:ロバート・キャンベル(国文学研究資料館館長)
・河野元昭館長のおしゃべりトーク ※定員120名
日時:2018年3月3日(土) 13:15開場 13:30開始
登壇者:河野 元昭(静嘉堂文庫美術館館長)
※各会とも、当日開館時より1名につき1枚限定で整理券配布
※観覧無料(但し、当日有効の入館券が必要)