展覧会「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」が、上野・東京都美術館にて2019年2月9日(土)から4月7日(日)まで開催される。

意表を突くような発想の江戸絵画の魅力

『奇想の系譜』は、美術史家・辻惟雄が1970年に著した書籍。それ以前にはまとめて書籍や展覧会で紹介されたことのなかった、自由かつ斬新な発想で描かれた、意表を突くような絵画の数々が取り上げられている。

「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」では、『奇想の系譜』で取り上げられた6名の画家、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳を特集。さらに、白隠慧鶴、鈴木其一の2名の作品を加え、豊かな想像力や奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の新たな魅力を紹介する。

伊藤若冲《梔子雄鶏図》などを初公開

濃密な色彩と繊細なタッチで描いた花鳥画で知られる伊藤若冲の《梔子雄鶏図》は、「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」の開催に向けた調査の過程で見出された、初公開作品。若干のためらいを感じられる画風や、落款の書体などから、伊藤若冲が30歳代の頃の希少な初期作と考えられている。

一方、雄雌の鶏を12図に描いた《鶏図押絵貼屏風》は、82歳の落款があり、最晩年の作品であることが見て取れる。こちらも近年発見された新出作品となっている。

江戸琳派・鈴木其一《百鳥百獣図》がアメリカから里帰り

江戸琳派の祖・酒井抱一の忠実な弟子であった鈴木其一は、自然の景観を人工的に再構成し、非現実的な世界観を作品に投影した。アメリカより初めての里帰りとなる《百鳥百獣図》は、緻密に鳥や獣を描き出した作品。ありとあらゆる生き物を描こうとした構想は、伊藤若冲から影響を受けたものと見られている。

歌川国芳の独創的な構図

役者絵の国貞、風景画の広重と並び、武者絵の国芳として人気を博した浮世絵師の歌川国芳は、戯画、美人画、洋風風景画に、豊かなアイディアで近代感覚を取り込む一方、幕府の取り締まりをかいくぐり、役者絵や風刺画といった機知に富んだ作品で、庶民の支持を集めた。江戸時代初期の剣客・宮本武蔵の鯨退治伝説をもとにした《宮本武蔵の鯨退治》は、三枚続の画面を1枚のワイドな画面として捉え、ダイナミックに大鯨を配した独創的な構図を見せた。「武者絵の国芳」を象徴する作品だ。

ミントデザインやストフとのコラボアイテムが登場

会場では、ミントデザインズ(mintdesigns)、ストフ(STOF)、イクミ(IKUMI)、トウメイ(toumei)の4ブランドとコラボレーションしたアイテムを販売。ミントデザインズとストフからは、長沢芦雪 の「白象黒牛図屏風」に描かれている犬を柄にしたTシャツ、イクミからは歌川国芳の「相馬の古内裏」象徴的な骸骨を刺繍 したスカジャンなど、トウメイからは、江戸絵画の各モチーフを金色の箔プリントで施したコースターなどを展開する。

詳細

奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド
会期：2019年2月9日(土)～4月7日(日)
会場：東京都美術館 企画展示室
住所：東京都台東区上野公園8-36
休室日：月曜日、2月12日(火)
※ただし、2月11日(月・祝)、4月1日(月)は開室
開室時間：9:30～17:30(入室は閉室の30分前まで)
※夜間開室 金曜日、3月23日(土)、30日(土)、4月6日(土)は9:30～20:00(入室は閉室の30分前まで)
観覧料：一般 1,600(1,400)円、大学生・専門学校生 1,300(1,100)円、高校生 800(600)円、65歳以上 1,000(800)円
※()内は前売券、団体券の価格。団体割引の対象は20名以上。
※中学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳持参者とその付添い(1名まで)は無料
※2月20日(水)、3月20日(水)はシルバーデーにより、65歳以上は無料。当日は混雑する恐れあり。

■「奇想の系譜展」コラボレーション商品
発売日：2019年2月9日(土)～
取り扱い：展覧会会場、およびパルコが運営する「ミツカルオンラインストア」

【問い合わせ先】
TEL：03-5777-8600(ハローダイヤル)