展覧会「能をめぐる美の世界~初公開! 彌之助愛蔵から120年・新発田藩主溝口家旧蔵能面コレクション~」が、東京の静嘉堂文庫美術館にて、2020年10月13日(火)から12月6日(日)まで開催される。
日本の古典芸能・能楽は、元来いくつかの座に分かれて、五穀豊穣や天下泰平を祈る神事芸能の側面を持つ一方で、民衆に密着した娯楽性の強い芸も披露していた。14世紀末には、室町将軍家の庇護を受けるようになり、観阿弥・世阿弥親子により洗練を極める。そして江戸時代には武家の式楽となり、特に武家と密接な関係を持つようになったのだ。
能楽の重要な要素に、多種多様な“能面”が挙げられる。展覧会「能をめぐる美の世界~初公開! 彌之助愛蔵から120年・新発田藩主溝口家旧蔵能面コレクション~」では、静嘉堂が所蔵する新発田藩の大名家・溝口家旧蔵の能面コレクション67面を、能にまつわる美術品などとともに展示する。
溝口家旧蔵の能面コレクションは、 能面のみならず、面を守る面袋、そしてそれらを納める面箪笥のすべてが揃った貴重なコレクションである。本展では、若い女性を表す「万媚」や鬼面「中癋見」など、多彩な能面を一挙初公開。
なかでも、長い顎鬚をもつ「翁」は、神に天下泰平、国土安穏、五穀豊穣を祈る舞にのみ使用され、これ自体がご神体として祀られることもある特別な面だ。通常の能面とは異なり、あごの部分が紐で結びつけられる「切り顎」で作られているのが特徴である。
また、能にまつわる美術品や本なども展示。幕末から明治前期に活躍した河鍋暁斎が能や狂言の各場面を描いた画集『能画図式』や、能「鞍馬天狗」に登場する大天狗を日本刺繍で表現した作品などからは、時代ごとにさまざまな人びとを捉えた能の魅力を垣間見られそうだ。
さらに、 日本の仮面のルーツともいえる伎楽面・舞楽面も紹介。伎楽は、7世紀ごろに中国から日本に伝えられた仮面劇であり、舞楽の先駆的存在とされる。本展では、明治を代表する彫刻家・加納鉄哉の模刻による伎楽面など初公開の面も展示する。
展覧会「能をめぐる美の世界~初公開! 彌之助愛蔵から120年・新発田藩主溝口家旧蔵能面コレクション~」
会期:2020年10月13日(火)~12月6日(日) 会期中に一部展示替えあり
会場:静嘉堂文庫美術館
住所:東京都世田谷区岡本2-23-1
休館日:月曜日(11月23日(月・祝)は開館)、11月24日(火)
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
入館料:一般 1,000円、大高生・障害者手帳の所持者(同伴者1名を含む) 700円、中学生以下 無料
※予定は変更となる場合あり(最新情報は美術館ホームページにて確認)
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)