展覧会「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」が、東京都写真美術館にて、2020年12月1日(火)から2021年1月24日(日)まで開催される。
「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」は、幕末明治期における関東地方の写真文化をひもとく展覧会だ。全3部から構成される会場では、計190点の初期写真や写真器材を通して、その文化的な厚みを展覧する。
写真の発明は、18世紀末のフランスに遡る。日本では、19世紀半ばに写真機材一式が輸入される一方、欧米各国へと派遣された使節団が現地で撮影された肖像写真を江戸へ持ち帰り、写真が普及。そして鵜飼玉川をはじめ各地で写真家が開業し、写真文化が日本に定着してゆくこととなった。
一章では、初期写真の歴史を概観。ハーベイ・ロバート・マークス《慎兵衛(清太郎)像》やナダール《第二回遣欧使節 副使 河津祐邦》といった作例、そしてダゲレオタイプカメラなどの器材から、ヨーロッパにおける写真発祥から日本への輸入と普及するまでの歴史、そして写真技術を紹介する。
1863年に訪日したフェリーチェ・ベアトは、外国人居留地があった横浜で、日本の風俗を紹介する手色彩の写真入りアルバムを作成。また明治初期には、浅草や銀座といった東京の繁華街や、埼玉の熊谷、茨城の水戸、栃木の日光などに写真館が誕生し、東京と関東を起点として日本の写真文化は広がりを見せる。
二章では、制作者にフォーカス。ベアトの元で腕を磨いた日下部金兵衛をはじめ、関東地方を訪れ、あるいはこの地を基盤に活動した写真家たちの作品を展示する。また、横浜で開業した下岡蓮杖の《(相撲)》など、関東各地で開業した初期の写真家の作品も目にすることができる。
江戸が東京となっても、民衆の暮らしは大きく変化することはなかった。欧米の人びとは日本独特の風俗や風景に関心を抱き、これに応えるべく訪日外国人や日本人写真家が数多くの写真を残したのだった。
本展の最終章では、幕末明治の関東の姿を、初期写真の数々を通して紹介。ペリー来航時に撮影された貴重な肖像写真《田中光儀像》(重要文化財、展示期間:2021年1月2日(土)〜1月24日(日))から、宮内幸太郎が捉えた建設中の東京駅、そして浅草や上野のひとコマまで、バラエティに富んだ幕末明治の写真群を楽しめる。
展覧会「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」
会期:2020年12月1日(火)〜2021年1月24日(日)
会場:東京都写真美術館 3階展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12月29日(火)〜1月1日(金・祝))
観覧料:一般 700円(560円)、学生 560円(440円)、中高生・65歳以上 350円(280円)
※( )内は20名以上の団体、同館の映画鑑賞券提示者、各種カード会員割引
※小学生以下、都内在住の中学生および障害者手帳の所持者とその介護者は無料
※1月2日(土)・3日(日)・21日(木・開館記念日)は無料、なお入場規制あり
※各種割引の併用不可
※予定は変更となる場合あり(最新情報は美術館ホームページを確認)
※題不詳のものは便宜上の名称を与え、( )で示している。
【問い合わせ先】
東京都写真美術館
TEL:03-3280-0099