企画展「コレクション 4つの水紋」が、埼玉県立近代美術館にて、2021年3月23日(火)から5月16日(日)まで開催される。なお、当初は2021年1月23日(土)から3月21日(日)までの開催を予定していたが変更となった。
1982年の開館以来、「印象派以降の西洋絵画」と「埼玉県ゆかりの近現代作家の作品」を中心に収集を続けてきた埼玉県立近代美術館。そのコレクションの一部は、美術館が位置する北浦和公園内や館内に常設されており、とりわけ館内には、積極的に収集を続けているデザイン椅子に座りつつ鑑賞できる場も設けてきた。
企画展「コレクション 4つの水紋」では、“新規収蔵作家”であるポール・シニャック、“埼玉ゆかり” の画家・奥原晴湖、“椅子のモダンデザイン”に携わったシャルロット・ぺリアン、そして“屋外彫刻”を手掛けた重村三雄の4作家を中心に、同館のコレクションを幅広く紹介。水面に広がる複数の波紋が互いに干渉しあって模様を織りなすように、これら4作家に呼応させつつ多彩な所蔵作品にアプローチする。
印象派に感銘を受けて画家として出発したポール・シニャックは、光学的理論に基づいた点描による色彩表現を追求した新印象派画家として、川や海といった水辺の風景画を数多く残した。本章では、印象派から新印象派への過渡期に制作された《アニエールの河岸》を中心に、モーリス・ドニ《トレストリニェルの岩場》や菱田春草《湖上釣舟》など、「水辺」と「点描」をキーワードとした作品展示を行う。
幕末から明治期の東京で人気を博した南画家・奥原晴湖は、その後半生を埼玉・熊谷で過ごした。南画の特徴は、画中に詩を書き入れる形式。晴湖は書画一体の山水画を手掛ける一方で、《仙境群鶴》などに見るように、細部に至るまで緻密に描きこんだ花鳥画も得意としていた。ここでは、南画を特徴付ける「絵画と言葉」、そして「細部」をテーマに、佐伯祐三《門と広告》や増田三男《金彩双虫文箱》などを展示する。
埼玉県立近代美術館は「椅子の美術館」という愛称でも親しまれ、館内の随所にモダンデザインの椅子を展示してきた。本章では、“世界一有名な寝椅子”とも呼ばれるシャルロット・ぺリアンの《LC4 シェーズロング》を中心に、レオナール・フジタによる《横たわる裸婦と猫》など、「横たわる」動作にちなんだ作品を展示。また、柳宗理《バタフライスツール》をはじめ、ぺリアンと同時代に生きた作家の作品も楽しめる。
美術館の階段裏に設置された人物群《階段》は、館外の公園からその姿を垣間見られる作品だ。作者の重村三雄はもともと油絵を手掛けていたものの、FRP(繊維強化プラスティック)という素材と出合ったことから、対象を直接型取りした作品を制作するようになる。人物や樹木などをモチーフとした重村の作品は迫真的なまでにリアルである一方、それだけに対象の不在を感じさせるという逆説を孕んでいる。ここでは「素材」と「不在」をキーワードに、小村雪岱《青柳》などの作品を紹介する。
企画展「コレクション 4つの水紋」
会期:2021年3月23日(火)〜5月16日(日) 会期中に一部展示替えあり
※当初の会期2021年1月23日(土)〜3月21日(日)から変更
会場:埼玉県立近代美術館 2階展示室
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
休館日:月曜日
開館時間:10:00〜17:30(展示室への入場は17:00まで)
観覧料:一般 1,000円(800円)、大高生 800円(640円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下、障害者手帳などの提示者(付添1名を含む)は無料
※併せてMOMASコレクション(1階展示室)も観覧可
※休館または会期などの変更の可能性あり(最新情報は美術館ホームページにて確認)
【問い合わせ先】
埼玉県立近代美術館
TEL:048-824-0111 (代表)