展覧会「まちへ出よう展 〜それは水の波紋から始まった〜」が、東京のワタリウム美術館にて、2021年6月11日(金)まで開催される。
東京の旧都営青山北町アパート。そこには高さ20mの給水塔があり、中国人アーティストのホワン・ヨンピンは、竹でできた5mの大仏を設置した。大仏には100個以上の小さな鈴が取り付けられ、夏の夕暮れ時、一陣の風に誘われて鈴の音が響きわたるのだった──
これは、次々と画期的な展覧会を発信していたキュレーター、ヤン・フートとワタリウム美術館の協働により、1995年に開催された「水の波紋95」展の様子である。同展では、青山と原宿の街全体を会場に、街中の40箇所に現代美術作品を設置。会期中、そこには不思議な空気が満ちあふれ、水面に落ちた雫が波紋を広げゆくかのように、街の人びとの心にふれたのであった。
展覧会「まちへ出よう展〜それは水の波紋から始まった〜」は、いま再び「水の波紋95」展を呼び起こす試みだ。1995年のこの展覧会で展示された作品とその源流をたどるとともに、2021年の現代アーティストが手掛けた作品もあわせて紹介する。
本展では、「水の波紋95」展に出品したアーティストから、ホワン・ヨンピンやロイデン・ラビノヴィッチ、蔡國強ら8人の作品を展示。ホワン・ヨンピンはかつてワタリウム美術館の入り口に、竹のほうきの作品《竹帚(たけぼうき)》を取り付けたが、本展では同作を「水の波紋95」と同様の方法で展示する。
また、会場では、グラフィティ・アートの先駆者キース・ヘリングや、幾何学的な構成によりミニマルアートを打ち立てたソル・ルウィット、社会と芸術の関係性を追求したヨーゼフ・ボイス、そしてアーティスト・グループのChim↑Pomなど、現代アーティスト8組の作品も展示。「水の波紋95」の源流と“次なる波紋”を探る。
なお、9月5(日)まで、屋外展示「水の波紋展2021 消えゆく風景から ─ 新たなランドスケープ」が、東京・青山地区の屋外にて開催。SIDE COREや檜皮一彦、梅沢和木、JR(ジェイ・アール)、竹川宣彰といったアーティストが参加する。
展覧会「まちへ出よう展 〜それは水の波紋から始まった〜」
会期:2021年2月6日(土)〜6月11日(金)
※6月6日(日)までの会期を予定していたが延長
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
TEL:03-3402-3001
開館時間:11:00〜19:00
※当面のあいだ、水曜日の夜間開館は中止
休館日:月曜日(5月3日(月・祝)は開館)
入館料:一般 1,200円、学生(25歳以下) 1,000円
※入場方法については美術館ホームページにて確認
■展示アーティスト
ロイデン・ラビノヴィッチ、フランツ・ウエスト、蔡國強(ツァイ・グオチャン)、ホワン・ヨンピン、デイヴィッド・ハモンズ、ジェイソン・ローズ、フェデリコ・フージ、ミロスワフ・バウカ〈以上「水の波紋95」より〉、松下徹、ソル・ルウィット、Chim↑Pom、キース・ヘリング、ヨーゼフ・ボイス、DIEGO、カールステン・ニコライ、ヴォルフガング・ライプ
■関連イベント
水の波紋展2021 消えゆく風景から ─ 新たなランドスケープ
会期:2021年8月2日(月)〜9月5(日)
※当初の予定4月28日(水)〜5月30日(日)から変更
会場:青山地区の屋外
参加作家:JR(ジェイアール)、アピチャッポン・ウィーラセタクン+坂本龍一、ビル・ウッドロー、梅津庸一 ほか