企画展「日本画の150年 明治から現代へ」が、茨城県近代美術館にて、2021年4月17日(土)から6月20日(日)まで開催される。
西洋化が進められた明治時代、美術の領域においても、伝統を引き継ぎつつ西洋絵画の表現も取り入れ、新しい日本画を創出する動きが生じた。そうした試みは、芸術の自由を志向した大正時代、古典が見直された昭和前期、従来の価値観が大きく揺らぐ状況から再出発した昭和後期を経て、現代にまで受け継がれてきた。
企画展「日本画の150年 明治から現代へ」は、脈々と継承されてきた伝統や技法を基盤としつつも、革新的な表現を試みてきた日本画の150年をたどる展覧会。52作家の作品を通して、明治時代から現代に至るその歩みを紹介する。
幕末から明治にかけて西洋絵画が本格的に紹介されるようになると、その技法を学んで油彩画に取り組む画家が現れた。その一方、岩絵具や和紙といった伝統的な画材を使用しつつも西洋絵画の表現を取り入れた、新しい日本画を作り出すことも試みられた。冒頭では、空気感や内面的な感情を表現しようとした横山大観や菱田春草など、新しい時代にふさわしい表現を追求した画家による作品を展示する。
自由な雰囲気が社会により溢れるようになった大正時代、美術界でも今村紫紅や速水御舟など、独創的な表現を追求した画家が数多く登場した。ここでは、安田靫彦らの作品に加え、写実表現と細密描写を特徴とする作品を手がけた速水御舟のスケッチも紹介。御舟は寡作であるうえに、気に入らない下絵や写生は自ら処分したともされるが、本展では9点のスケッチを展示し、筆致を間近に見ることができる。
第二次世界大戦の敗戦後、画家たちは、伝統的なものが否定される状況から再出発することとなった。「人間の存在を問う」ような新たな主題の登場、画面の大型化・厚塗りの絵具といった表現の変化のみならず、多くの女性画家も活躍するようになったのだ。
会場の後半では、片岡球子ら戦後画家の作品を紹介。さらに、明治期より続いてきた、西洋絵画を意識しながら日本画を描くことからは距離を置き、日本画の特性を活かした作品を手がける戦後生まれの日本画家にも光をあてる。
そのほか会場では、大正から昭和前期に活躍し、河童や自然などを描いた小川芋銭、そして小林巣居人ら、茨城ゆかりの日本画家を紹介するコーナーも。長らく展示される機会がなかった芋銭の《石非羊》を公開するほか、長さ17mにわたる巣居人の《水辺画巻》を、上巻下巻それぞれ17mの絵巻《土機光象》とともに前期後期で展示する。
企画展「日本画の150年 明治から現代へ」〈予約優先制〉
会期:2021年4月17日(土)〜6月20日(日)
※5月17日(月)に一部展示替え
会場:茨城県近代美術館
住所:茨城県水戸市千波町東久保666-1
休館日:月曜日(5月3日(月・祝)は開館)、5月6日(木)
開館時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
入館料:一般 610円(490円)、満70歳以上 300円(240円)、高大生 370円(320円)、小中生 240円(180円)
※( )内は20名以上の団体料金
※障害者手帳・指定難病特定医療費受給者証などの所持者は無料
※6月5日(土)は満70歳以上で入場無料
※土曜日は高校生以下無料
■予約優先制
・入場はオンラインの「日時指定ウェブ整理券」(無料)取得者が優先
・予約は来館日の1ヶ月前より可能(各時間帯の定員に達し次第、締め切り)
・詳細は美術館ホームページを確認
【問い合わせ先】
茨城県近代美術館
TEL:029-243-5111