展覧会「コレクター福富太郎の眼」が、新潟県立万代島美術館にて2021年11月7日(日)まで、大阪・あべのハルカス美術館にて2021年11月20日(土)から2022年1月16日(日)まで開催される。その後、高知、富山、岩手に巡回予定だ。
福富太郎(ふくとみ たろう)は、1964年の東京オリンピック景気を背景に、全国にキャバレーを展開して、キャバレー王の異名をとった実業家だ。その一方で、長年にわたって美術品を蒐集し、鏑木清方の美人画に代表される「福富太郎コレクション」を築き上げた。
福富は、著名な作家の作品のみならず、美術史の流れに沿わない未評価の画家による作品であっても、自らが良質であると考えれば自身のコレクションに加えた。展覧会「コレクター福富太郎の眼」では、福富の審美眼に目を向け、美人画のみならず、洋画黎明期から戦争画に至る油彩画など、約80点の作品から福富太郎コレクションの全体像を紹介する。
福富は事業に成功すると、幼少期からの憧れであった鏑木清方の美人画を積極的に蒐集した。第1章では、代表作である《薄雪》や《妖魚》に加え、異色作《刺青の女》など、清方の作品を合計13点展示する。
福富による蒐集は、清方を起点に、先達であった渡辺省亭、友好関係のあった池田輝方とその妻蕉園などと、その幅を広げていった。第2章では、福富太郎コレクションの美人画を紹介。省亭《幕府時代仕女図》や蕉園《宴の暇》などに加えて、「毎晩、飽かず眺めて暮らした」という北野恒富《道行》や、上村松園の初期の重要作《よそほい》も目にすることができる。
美術史の王道を外れた作家の作品を蒐集したように思われる日本画に対して、洋画においては著名作家の作品が並ぶ。とはいえ、「その絵に惚れこむ」基本的な姿勢に変わりはない。第3章では、高橋由一《小幡耳休之肖像》などの洋画黎明期の作品から、岡田三郎助の美人画の代表作《ダイヤモンドの女》や川村清雄《蛟龍天に昇る》、そして日露戦争の未亡人を描いた満谷国四郎《軍人の妻》といった作品まで、油彩画の数々を展示する。
また、新潟会場では、福富の没後に東京都現代美術館に寄贈された戦時下の洋画コレクションより、藤田嗣治、宮本三郎、向井潤吉、中村研一、阿部合成の5点を特別出品する。
・新潟県立万代島美術館「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」
会期:2021年9月18日(土)~11月7日(日)
住所:新潟市中央区万代島5-1 万代島ビル 5階
開館時間:10:00〜18:00(観覧券の販売は17:30まで)
休館日:9月27日(月)、10月11日(月)、10月25日(月)
観覧料:一般 1,600円(1,400円)、大学・高校生 1,300円(1,100円)、中学生以下無料
※( )内は有料20名以上の団体料金
・あべのハルカス美術館「コレクター福富太郎の眼」
会期:2021年11月20日(土)〜2022年1月16日(日)
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス 16階
TEL:06-4399-9050
開館時間:火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:11月29日(月)、12月31日(金)、1月1日(土)
観覧料:一般 1,500円(1,300円)、大高生 1,100円(900円)、中小生 500円(300円)
※( )内は前売・15名以上の団体料金
※前売券は11月19日(金)まで販売
※障がい者手帳の持参者は、美術館チケットカウンターで購入した本人と付き添い1名まで当日料金の半額
※本展観覧券(半券可)の提示で大阪市立美術館の特別展「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」 の当日券を100円引で購入可能(1枚につき1人1回限り有効、他の割引券との併用不可)
■巡回情報(予定)
・高知県立美術館
会期:2022年1月29日(土)〜3月21日(月・祝)
住所:高知県高知市高須353-2
・富山県水墨美術館
会期:2022年7月15日(金)〜9月4日(日)
住所:富山県富山市五福777
・岩手県立美術館
会期:2022年9月17日(土)〜11月6日(日)
住所:岩手県盛岡市本宮字松幅12-3