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企画展「横尾忠則の恐怖の館」横尾忠則現代美術館で - 横尾作品から探る“芸術と恐怖”の関係性

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企画展「横尾忠則の恐怖の館」が、神戸の横尾忠則現代美術館にて、2021年9月18日(土)から2022年2月27日(日)まで開催される。

「恐怖」に着目して横尾作品を紹介

横尾忠則《Pantanalの精霊》1995年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)
横尾忠則《Pantanalの精霊》1995年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)

人は未知のものに対してしばしば恐怖を抱くが、それは好奇心と表裏一体であり、「怖いけれども見たい」という曖昧な感覚が生じることになる。企画展「横尾忠則の恐怖の館」では、イラストレーションや絵画などの横尾作品を通して、芸術と恐怖の関係性について探ってゆく。

『江戸川乱歩全集』挿絵を用いたインスタレーション

横尾忠則《白昼夢 江戸川乱歩全集(講談社)挿画》1968年 横尾忠則現代美術館蔵
横尾忠則《白昼夢 江戸川乱歩全集(講談社)挿画》1968年 横尾忠則現代美術館蔵

見えるものや科学的に説明できる領域の外にあるものは、横尾の関心のひとつであり続けてきた。それが色濃く反映されている例が、講談社版『江戸川乱歩全集』の挿絵である。鋭い描線と鮮やかな色面から構成される挿絵は、必ずしも小説における特定の場面を描写するものではなく、想像力が自由に発露する独立した美術作品であるとさえいえる。本展の導入部分では、これらの挿絵を用いて、お化け屋敷をイメージしたウォークスルー型のインスタレーションを展開する。

ポートレートと「死」

横尾忠則《葬列 I》1969-1985年 横尾忠則現代美術館蔵
横尾忠則《葬列 I》1969-1985年 横尾忠則現代美術館蔵

ポートレートは横尾作品における重要なモチーフのひとつであるが、それは常に「死」と結びついている。たとえば版画作品《葬列》は、ジャック・ドレーの映画『太陽が知っている』における葬列シーンの写真を色分解し、6枚のアクリル板に分けて刷り、間隔をおいて重ね合わせることで、版表現自体を主題化している。また、この方法論を展開させた「風景」シリーズでは、人物の顔などをモチーフとしつつも、モデルから個性や人格を抜きさったかのように、不気味な画面に仕上げられている。

横尾独自の「死」の捉え方

横尾忠則《交叉の泉(部分)》2002年 横尾忠則現代美術館蔵
横尾忠則《交叉の泉(部分)》2002年 横尾忠則現代美術館蔵

横尾は自らの作品において、一貫して「死」の問題を扱ってきた。年の離れた養父母に育てられ、彼らが他界する不安を抱えてきた横尾にとって、「死」とは幼少期から身近なものであったのだ。本展では、横尾が敬愛するフェデリコ・フェリーニ監督の映画『アントニオ博士の誘惑』からとった女優アニタ・エクバーグの立体作品《交叉の泉(部分)》や、《業》といった絵画作品など、横尾独特の死の捉え方から生まれた作品を展示する。

「闇」の表現

横尾忠則《黒いY字路 1》2010年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)
横尾忠則《黒いY字路 1》2010年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)

豊かな色彩感覚を持つ横尾は、その対極にある「闇」にも深い関心を寄せてきた。横尾が生まれ育った西脇は、兵庫の山間部に位置する地方都市あり、幼少期にはいたるところに深い闇が存在していた。2000年以降のライフワークである「Y字路」シリーズは、大都会では失われた闇を故郷で再発見したいという意識から生まれたものであった。会場では、美術館が廃墟化したかのような演出のもと、《黒いY字路 1》や《霊骨》など、闇や終末をめぐる横尾の表現を目にすることができる。

展覧会概要

企画展「横尾忠則の恐怖の館」
会期:2021年9月18日(土)〜2022年2月27日(日)
会場:横尾忠則現代美術館
住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合は開館、 翌平日休館)、年末年始(12月31日(金)〜1月1日(土))
観覧料:一般 700円(550円)、大学生 550円(400円)、70歳以上 350円(250円)、 高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※障がい者は各観覧料金(ただし70歳以上は一般料金)の75%割引、介護者1名は無料
※割引対象者は、証明できるものを持参のうえ、会期中美術館窓口で入場券を購入
※予約優先制(詳細は美術館ウェブサイトを参照)
※予定は変更となる場合あり(最新情報は美術館ウェブサイトにて確認のこと)

【問い合わせ先】
横尾忠則現代美術館
TEL:078-855-5607 (総合案内)

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