兵庫の芦屋市立美術博物館では、開館30周年記念 コレクション展「絵画はつづく、今日にむかって」を、2021年9月18日(土)から11月21日(日)まで開催する。
絵画作品における「モチーフ」とは、風景や人物のモデルなど、絵に描かれる「対象」を指すが、そのほかに制作の「動機」、作品の「主題」や「構成要素、構成単位」の意味も持つ。さらに抽象絵画においては、画家がその作品で目指したものがモチーフだといえる。
コレクション展「絵画はつづく、今日にむかって」では、芦屋市立美術博物館のコレクションのなかから近現代日本の絵画作品約80点を選び、「モチーフ」の視点から紹介。その際、「色彩」「イメージ」「奥行きと空間」など、絵画にまつわる10個のキーワードにより、絵画の問題を考察してゆく。
絵画は、描かれるイメージ、それを構成する色彩や線からなるが、物質的には紙やカンヴァスといった支持体と、その上にのる絵の具からできている。プロローグでは、絵画を成り立たせる物質的な側面に着目。白髪一雄が足によって描いた作品や川崎ヒロ子《WORK 93K Ⅰ 》などとともに、絵画の存在をめぐる10個のキーワードを紹介する。
画家は、絵画に描くモチーフを世界から選び取理、画家の手の仕事を通して画面の上へと描いてゆく。その筆跡には、モチーフに対する愛情や画家としての熱意がこもることになる。第1章では、そのような画家の“眼の欲望”と“手の仕事”に焦点を合わせ、伊藤継郎《闘牛》や 吉田喜蔵《芦屋の山より》などを展示する。
画家はモチーフを絵にする際、それを画面にいかにして収めるかを考える。構図はもちろん、線や色彩の省略・強調を施していく。そうしたなかで、具体的なモチーフが解体され、画面は純粋な色彩や線、形から構成されることになる。第2章では、長谷川三郎《赤の静物》や小出卓二《渡船場》などを展示し、「何を描くか」から「どう描くか」という問題への移行について考察する。
現実のモチーフを再現することから解放された色彩や線は、それ自体、画面の構成要素としての抽象的なモチーフ、あるいは画家が画面を構成する動機という意味でのモチーフとなる。その一方、従来の具体的なモチーフは完全に消えることはなく、具象と抽象とを行き来する絵画作品が今なお制作されている。第3章では、吉原治良《作品》や山崎つる子《作品》といった作品から、モチーフとイメージがせめぎあう「描くこと」に光をあてる。
芦屋市立美術博物館開館30周年記念 コレクション展「絵画はつづく、今日にむかって」
会期:2021年9月18日(土)〜11月21日(日)
会場:芦屋市立美術博物館 第1・第2展示室、エントランスホール
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12-25
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(9月20日(月・祝)は開館)、9月21日(火)
観覧料:一般 500円(400円)、大高生 300円(240円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※同時開催「芦屋の歴史と文化財」展の観覧料も含む
※10月17日(日)および11月3日(水・祝)は無料観覧日
※高齢者(65歳以上)、身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳所持者および介護者は、各当日料金の半額
【問い合わせ先】
芦屋市立美術博物館
TEL:0797-38-5432