企画展「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」が、東京都現代美術館にて、2021年11月20日(土) から2022年2月23日(水・祝)まで開催される。
クリスチャン・マークレーは、視覚と聴覚の交差点から作品を発表してきたアーティストだ。1970年代末のニューヨークでターンテーブルを使用したパフォーマンスを行って以来、前衛的な音楽シーンで活躍する一方、視覚的な情報としての音や、現代社会における音楽の物質化・商品化に着目し、現代美術と音楽をつなぐ活動も展開してきた。
日本の美術館では初となる大規模個展「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」では、音楽とアートを接続するマークレーの実践を紹介。コンセプチュアル・アートやパンク・ミュージックに影響を受けた初期作品から、イメージと音の情報をサンプリングした大規模インスタレーション、そして最新作まで、多岐にわたる活動の全貌を展観する。
本展では、視覚と聴覚の経験の等価性に着目し、ある感覚を別の感覚に置き換えることで世界を読み解こうとするマークレーの発想を“Translating”=「翻訳/変換」と捉える。
たとえば、音楽、アート、マンガ、映画、そして街のグラフィティといった既存のイメージや音を抽出し、再利用する“サンプリング”の技法。録音された音の物質性を用いてイメージを作り出すフォトグラムのシリーズや、日々の身の回りにあるイメージを楽譜として演奏家に委ねる「グラフィック・スコア(図案楽譜)」などは、イメージと音という互いに異なる領域を、言語に代わって「翻訳」するものである。
会場では、声のための「グラフィック・スコア」である《マンガ・スクロール》をはじめ、英語に翻訳された日本のマンガから流用したオノマトペに着目する作品など、マークレーが既存の世界から抽出し、リミックスしてきたサンプリングの作品を、初期から最新作まで展示する。
一方、マークレーの作品は、制作されたのちにもなお時間とともに変化し、鑑賞者によって複数の体験へと「翻訳」されるものでもある。本展で展示される初期の代表作《レコード・ウィズアウト・ア・カバー》はその一例だ。保護パッケージのないLPレコードには、輸送・保管・再生の過程が傷として物質化され、それらが録音と一体となって音を生みだすのである。
さらに会場では、音とイメージが交差する大規模なインスタレーションも展開。映画のシーンをサンプリングし、4つの連続する画面に視聴覚作品として構成した最高傑作のひとつ《ビデオ・カルテット》や、マンガから切り取ったオノマトペの文字が、それぞれの言葉の響きを反映したアニメーションとして、音とともに降り注ぐ《サラウンド・サウンズ》などを展示する。
本展の関連イベントとして、日本在住の音楽家がマークレーの「グラフィック・スコア(図案楽譜)」を演奏するイベントも開催。∈Y∋、大友良英、コムアイ、巻上公一、山川冬樹らが参加するほか、ジム・オルークを中心とするバンドも結成される。
※参照:展覧会プレスリリース
企画展「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」
会期:2021年11月20日(土)〜2022年2月23日(水・祝)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F
住所:東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
休館日:月曜日(1月10日(月・祝)、2月21日(月)は開館)、年末年始(12月28日(火)〜1月1日(土・祝))、1月11日(火)
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
観覧料:一般 1,800円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,200円、中高生 600円、小学生以下 無料(保護者の同伴が必要)
※本展チケットで「MOTコレクション」も観覧可
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳の持参者と付添者(2名まで)は無料
※関連イベントの詳細は、美術館ウェブサイトなどにて告知
※開催内容は都合により変更となる場合あり(最新情報については美術館ウェブサイトなどを確認のこと)
■同時開催
・企画展「ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow」
会期:2021年11月20日(土)〜2022年2月23日(水・祝)
■同時期開催
・企画展「Viva Video! 久保田成子展」
・コレクション展「MOTコレクション Journals 日々、記す vol.2」
会期:2021年11月13日(土)〜2022年2月23日(水・祝)
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)