千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館は、くらしの植物苑特別企画 季節の伝統植物 「伝統の古典菊」を、2021年11月2日(火)から11月28日(日)まで開催する。
「伝統の古典菊」は、くらしの植物苑がこれまでに収集してきた「古典菊」を展示するイベント。各地方で独特な特徴を持った古典菊を約120品種と、国立歴史民俗博物館にて実生栽培したオリジナルの嵯峨菊、肥後菊など約20品種を一挙に展示する。
日本を代表する園芸植物のひとつである菊は、日本在来の植物ではないものの、古くから日本の地で親しまれてきた花。平安時代の宮廷で菊花の宴が流行していたことから、遅くとも律令期には、中国からもたらされていたと考えられている。「古典菊」とは、伝統的な菊の中輪種のことを指す呼称だ。
平安・鎌倉時代からは日本独自の美意識により、支配者層の間で独特の花が生み出された。京都・大覚寺で門外不出とされた「嵯峨菊」や、伊勢の国司や伊勢神宮との関わりの中で生み出された「伊勢菊」などをはじめ、菊は支配者層の中で宴用の花として、美術工芸品として、そして不老不死のシンボルとして特権的な地位を築いていった。
近世中頃以降になると菊は大衆化し、変化に富む園芸種の菊花壇や、菊細工の見世物が流行。江戸時代の宝暦年間に肥後の名藩主・細川重賢が文化政策の1つとして栽培を奨励したという「肥後菊」や、文化、文政期に江戸市中で大流行していた「江戸菊」などが菊の流行を支えた。
展示される古典菊の数々を見ていくと、生み出された背景や時代も、花の特徴も様々。花弁のまばらな「肥後菊」は、“朱鷺の羽”“金星”といった名前にもぴったりの、細い花弁が目を引く。「江戸菊」は、最初は垂れ下がっていた舌状花の花弁が徐々に立ち上がり、筒状花を抱えるようにして包み込む形へと変化していくのが特徴だ。
また、細く花びらが垂れ下がるようにして咲く「伊勢菊」、花芯部の筒状花が盛り上がって咲く「丁子菊」、刷毛状の花をつける「嵯峨菊」、両手で花をキュッと掴んだように盛り上がり、太い花弁が垂れ下がる「奥州菊」と、それぞれの花の特徴を見比べながら楽しむのがおすすめだ。
「古典菊」の展示に加え、「外国人がみた古典菊」がテーマのパネル展示も実施。プラントハンター(植物収集家)のロバート・フォーチュンが執筆した『江戸と北京』と旅行家のイザベラ・バード『日本奥地紀行』を題材に、彼らが関心を持った菊についてパネルで紹介する。
【詳細】
くらしの植物苑特別企画 季節の伝統植物 「伝統の古典菊」
開催期間:2021年11月2日(火)~11月28日(日)
会場:国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
住所:千葉県佐倉市城内町117
休苑日:11月8日(月)・15日(月)・22日(月)
開苑時間:9:30~16:30(入苑は16:00まで)
料金:個人 100円
※11月3日(水・祝)は「文化の日」で入苑無料。
※高校生以下は入苑無料。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入苑無料。
※博物館の総合展示・企画展示は別途料金が必要。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑に入場可能。
※植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引となる。
※内容は変更になる場合あり。
【問い合わせ先】
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TEL:050-5541-8600