特別展「米倉壽仁展 透明ナ歳月 詩情(ポエジイ)のシュルレアリスム画家」が、山梨県立美術館にて、2022年11月19日(土)から2023年1月22日(日)まで開催される。
米倉壽仁(よねくら ひさひと)は、1905年山梨に生まれ、第一次世界大戦後のフランスから世界中に広がったシュルレアリスムに独学で取り組んだ画家・詩人だ。戦前は前衛画家が集った「美術文化協会」で、そして戦後には自身が結成した「サロン・ド・ジュワン」で詩情あふれる幻想的な絵画作品を発表する一方、文芸作品も手がけている。
青春時代に詩人を目指していた米倉は、1931年に《ジャン・コクトオの「夜曲」に よる》で二科展にデビューし、画家を志すことに。上京後、シュルレアリスム絵画を日本に紹介した福沢一郎などが活躍する「独立美術協会」に参加し、福沢らとともに「創紀美術協会」や「美術文化協会」を創設するなど、前衛画家として創作活動を行った。当時の作品は、サルバドール・ダリの影響が顕著に見られる点が特徴だ。
戦後、東京で創作活動を再開した米倉は、「美術文化協会」の脱会後、画家グループ「サロン・ド・ジュワン」を結成。その作品からはダリの影響が徐々に薄れ、より複雑な画面構成を持つ作品や、仏教的要素をモチーフとした作品などへと移り変わってゆく。1960年代以降には抽象化の傾向が見られるものの、完全に抽象絵画へと移行することはなく、幾何学的な図形や線、文字を多用したり、白い絵具に厚みを持たせて表情を出したりと、絵画表現の探求を試みていった。このように晩年に至るまで制作を続けるばかりでなく、郷里・山梨における絵画団体の発展にも貢献している。
特別展「米倉壽仁展 透明ナ歳月 詩情(ポエジイ)のシュルレアリスム画家」は、米倉壽仁の画業を網羅的に紹介する約40年ぶりの個展。《ヨーロッパの危機》や《黒い太陽》、《ジャン・コクトオの「夜曲」による》など、山梨県立美術館の所蔵作品を中心に展示し、その主な画業をたどってゆく。また、同館では初展示となる米倉の作品や、新発見の資料も展示される。
加えて、米倉が師と仰いだ福沢一郎や、「美術文化協会」で交流した北脇昇といった当時の前衛画家、そしてサルバドール・ダリやマックス・エルンストら当時の日本の画家が影響を受けた海外のシュルレアリスム画家など、米倉と関連する画家による作品もあわせて紹介する。
特別展「米倉壽仁展 透明ナ歳月 詩情(ポエジイ)のシュルレアリスム画家」
会期:2022年11月19日(土)~2023年1月22日(日)
会場:山梨県立美術館 特別展示室
住所:山梨県甲府市貢川1-4-27
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(1月2日(月・振替休日)・9日(月・祝)は開館)、12月27日(火)〜1月1日(日)、1月4日(水)・10日(火)
観覧料:一般 1,000円(840円)、大学生 500円(420円)
※( )内は20名以上の団体料金、県内宿泊者割引料金
※高校生以下の児童・生徒は無料(高校生は生徒手帳持参)
※県内65歳以上は無料(健康保険証など持参)
※障害者手帳の持参者およびその介護者は無料
※11月20日(日)の県⺠の日は誰でも無料
※展覧会や各イベントは延期または中止となる可能性あり(来館前に美術館ホームページを確認のこと)
※入場制限を実施する場合あり
【問い合わせ先】
山梨県立美術館
TEL:055-228-3322