千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館では、第3展示室特集展示「水滸伝ブームの広がり」を、2022年8月3日(水)から9月4日(日)まで開催する。
第3展示室特集展示「水滸伝ブームの広がり」は、江戸初期に伝来した中国の小説『水滸伝』が、次第により多くの読者を獲得し、出版のみならず江戸末期の大衆文化のさまざまな分野に影響を及ぼしていった様子をたどってゆくものだ。
日本への伝来後、漢学者のあいだで関心を持たれていた『水滸伝』が徐々に読者層を拡げていった背景には、岡島冠山(おかじまかんざん)による翻訳『通俗忠義水滸伝』の刊行や、挿絵入りの読本や草双紙版の出版を挙げることができる。また、舞台設定を日本に変えた山東京伝の『忠臣水滸伝』、曲亭馬琴の『傾城水滸伝』や『南総里見八犬伝』なども生みだされることになった。
こうした大衆のあいだでの水滸伝ブームは浮世絵の世界にも波及し、たとえば歌川国芳の錦絵シリーズ「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんのひとり)」は、武者絵というジャンルの流行に大きく寄与している。さらに、狂歌や見世物の題材にもされるなど、『水滸伝』は江戸末期の大衆文化を育む豊かな土壌となったのだ。
本展では、歌川国芳の「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)」から、出来栄えの優れた作品を展示するほか、冠山訳『通俗忠義水滸伝』や、『水滸伝』を扱った葛飾北斎ら浮世絵師による版本などを展示し、江戸末期の大衆文化における水滸伝ブームの広がりを紹介する。
第3展示室特集展示「水滸伝ブームの広がり」
会期:2022年8月3日(水)~9月4日(日)
会場:国立歴史民俗博物館 第3展示室 特集展示室
住所:千葉県佐倉市城内町117
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は開館して翌日休館、ただし8月15日(月)は開館)
料金:一般 600円、大学生 250円、高校生以下 無料
※総合展示もあわせて観覧可
※障がい者手帳などの保持者は手帳などの提示により、介助者とともに入館無料
※高校生および大学生は、学生証などを提示
※博物館の半券の提示で当日に限りくらしの植物苑に入場可、また植物苑の半券の提示で当日に限り博物館の入館料が割引
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)