服作りのスタイルはどういう風に定まっていったのでしょうか。
のん:最初のうちは型紙を買って、それをそのまま作っていたのですが、最近は自分が着たいものをまず考えてから作るようになりました。あとは、布を買いに行って、良い布があったら、生地の柄や質感からインスピレーションを受けています。「この布だったらどういうのがいいかな」という感じで。
ご自身が着たいと思う服、というのはその時々で変化がありますか。
のん:昔とは変わってきたと思います。高校生の時は蒼井優さんに憧れていたので、花柄のワンピースとか、ナチュラル系のお洋服が好きでした。今は強い服が好きですね。
たとえば、どういう服が強い服だと思いますか。
のん:ヴィヴィッドな色が入っていたり、攻めたディテールがあったりする強い服が好きです。ちょっと変わっているものが好きですね。でも、カジュアルで着やすいボーイッシュな服も好きです。
お気に入りのブランドを教えてください。
のん:そうですね、色々なところで買っているのですが……。今は、メゾン マルジェラ(Maison Margiela)のジーンズがお気に入りでよく履いています。あとキャップも好きで、最近は新しく買ったキャップをずっと使っています。
現場の雰囲気はいかがでしたか。
のん:楽しかったですね。本当に素晴らしいキャストの方々ばかりが集まっているので、演じるのが刺激的で面白かったです。たとえば寺島しのぶさんは「天間荘」の大女将として、怖さもチャーミングな部分も見せていて、「こういう風に魅力を出すんだな」と勉強になりました。あと、三姉妹のお父さん役の永瀬正敏さんとのシーンも楽しかったです。肩の力が抜けていながらも、痛みはずっと抱えていて……シリアスなシーンで不謹慎に振る舞ってもリアルに見える。その絶妙な演技が勉強になりました。
三姉妹役を演じた大島優子さん、門脇麦さんとは共演してみていかがですか。
のん:お2人とも色々なお話をして、お互いに気持ちを交わしてから演技に臨むことができたので、とてもリラックスして演技ができたと思います。(門脇)麦さんからは釣りやきのこ狩りが好きだというお話を聞いたり、大島(優子)さんとはハロウィンの仮装の話で盛り上がったり。大島さんも私も仮装するのが好きだということが判明したんですよ。
和気藹々とした雰囲気がうかがえます。ところで、のんさんもハロウィンの時には仮装をされるんですか?
のん:はい。ハロウィンでは色々やりました。フレディ・マーキュリーとか、映画『スナッチ』のビジュアルの登場人物全部やるとか。高校生の時に友達と一緒に仮装してコンビニに行ったこともあります。オフィス街だったから見てくれる人が誰もいなかったのですが……(笑)。
ハロウィン以外の時も仮装は結構やっていて、アニメ「おそ松さん」の仮装を全員分やったり、テレビシリーズの「ワンダーウーマン」をやったり。あと植木等さんになりたくて……その時の仮装はめっちゃ似ていました(笑)!
作中ではたまえの姉・かなえが働く水族館でイルカと触れ合うシーンも登場しますね。
のん:撮影場所の下田の水族館は、水槽にあたる部分が船になっていて。イルカのショーも海でやるので、海ならではのダイナミックさが映像にも表れていると思います。下田のイルカはすごい野性的で、ショーの最中に潜ってなまこを捕まえて遊んだりすることもあるそうです(笑)。いたずらっ子ですよね。
イルカと一緒に演技をするのは大変ではありませんでしたか。
のん:イルカとのシーンは、めちゃくちゃ大変なんですけど、面白かったです。イルカって気分が乗らなかったり居心地悪かったりすると全然言うこと聞いてくれないんですよ!集中力も持続できる時間が限られているので、「あ、今日つれないね?」とかイルカのご機嫌をうかがいつつ……(笑)。でも、そういうつれない素振りがかわいいな、と思いました。
つれない素振りがむしろかわいく感じた、ということですか。
のん:私の中でイルカって“いい子ちゃん”みたいなイメージがあったのですが、そうではない、というところがかわいかったです。見た目と裏腹なキャラクターが好きなんですよね。
イルカはつれないところもあるけど、その分大技が決まった時は「ありがとうー!」って感じで、すごい嬉しかったですし……。みんな1回イルカと触れ合ってみたらいいと思うぐらい、面白かったですね。
映画『天間荘の三姉妹』
公開日:2022年10月28日(金)
原作:髙橋ツトム『天間荘の三姉妹-スカイハイー』(集英社 ヤングジャンプ コミックス DIGITAL 刊)
プロデューサー:真木太郎
監督:北村龍平
脚本:嶋田うれ葉
音楽:松本晃彦
出演:のん、門脇麦、大島優子、高良健吾、山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊、三田佳子、永瀬正敏、寺島しのぶ、柴咲コウ
配給:東映 制作プロダクション:ジェンコ 製作:『天間荘の三姉妹』製作委員会
〈映画『天間荘の三姉妹』あらすじ〉
天界と地上の間にある街、三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上に、老舗旅館「天間荘」がある。切り盛りするのは若女将の天間のぞみだ。のぞみの妹・かなえはイルカのトレーナー。ふたりの母親にして大女将の恵子は逃げた父親をいまだに恨んでいる。ある日、小川たまえという少女が謎の女性・イズコに連れられて天間荘にやってきた。
たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい、臨死状態に陥ったのだった。イズコはたまえに言う。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。そもそも三ツ瀬とは何なのか?天間荘の真の役割とは?たまえにも「決断の時」が刻々と近づいていた。