展覧会「潜在景色」が、群馬のアーツ前橋にて、2022年11月19日(土)から2023年3月5日(日)まで開催される。

写真における「見えるもの」と「見えないもの」

写真という表現は、目の前の被写体を捉えるのみならず、目には見えない背景をも内包している。すなわち、雄大なランドスケープや身近な街の風景、何気ない日常のいち場面を撮影した写真が、その場所の歴史的・社会的背景、そこに流れてきた時間、あるいは記憶の痕跡を想起させることがあるのだ。

展覧会「潜在景色」では、不可視な対象を捉えるという写真の力に着目。国内外で活躍する6人の作家が、前橋をはじめとする群馬全域、さらに広範にわたる地域をそれぞれの視点で捉えた作品を、最新作を含めて紹介する。

本展では、石塚元太良、片山真理、下道基行、鈴木のぞみ、西野壮平、そして村越としやの6人の作家が出品。通常の写真ばかりでなく、コラージュやインスタレーションなど、さまざまな表現手法を用いた作品を展示する。

たとえば下道基行は、フィールドワークをベースに、生活のなかに埋没して忘却されかけている物語や日常的なものごとを、写真などを通して編集し、視覚化することを試みてきた。本展では、これまで下道が手がけてきたシリーズ「bridge」に、新たに前橋で撮影した「橋」を加えてインスタレーションを展開する。

一方、身体を模った手縫いのオブジェや立体作品、装飾を施した義足を用いてセルフ・ポートレイト作品を制作する片山真理は、2014年と2015年の2回にわたって前橋に滞在した際、商店街やスタジオで撮影した作品を中心に出品。さらに、旅の記憶をもとに写真をコラージュした「Diorama Map」シリーズを手がけてきた西野壮平は、「利根川」をテーマとする最新作を発表する。

普段は見過ごされているもの、そして場所が内包するものへと視線を注ぐこれらの作品は、見慣れた自然や街、日常の風景のなかに、「潜在的な景色」を浮かびあがらせることになる。写真を通して「見えるもの」と「見えないもの」に意識を向けることで、それぞれの場所が潜在的に有する可能性や魅力を感じることができるだろう。

展覧会概要

展覧会「潜在景色」
会期：2022年11月19日(土)〜2023年3月5日(日)
会場：アーツ前橋 地下ギャラリー
住所：群馬県前橋市千代田町5-1-16
開館時間：10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日：水曜日(11月23日(水・祝)は開館)、11月24日(木)、年末年始(12月28日(水)〜1月4日(水))
観覧料：一般 600円、学生・65歳以上・団体(10名以上) 400円、高校生以下 無料
※障害者手帳の所持者および介護者1名は無料
※2023年1月9日(月・祝)は前橋初市まつりのため無料

■出品作家
石塚元太良、片山真理、下道基行、鈴木のぞみ、西野壮平、村越としや

【問い合わせ先】
アーツ前橋
TEL：027-230-1144